もっと高いステージに立てるはず
―― ところで震災後のお仕事はどうですか?
武井 いや、ひどいですよ。3月12日から、次の4月16日の埼玉スーパーアリーナ(SKULLSHIT 15th ANNIVERSARY。氣志團、GOING UNDER GROUND等が出演予定)まで、実質的に国内の仕事はほぼゼロでした。ただ僕らの仕事は衣食住の次だから。それで泣きごと言うくらいなら、最初から他の仕事をしている。だからデPフェスは久しぶりに音が出せて、すごく楽しかったです。これは僕も味を占めましたね。
―― これから動画サイトデビュー組が増えるので「アウェー感」のないPAが大事になってくると思いますよ。次に何かあるとしたらPAをやってみたい人はいますか?
武井 やっぱりデPでしょう。あとはAGOBOTなんかもやってみたいですね、ライブは観たことないけど。ミクフェスとかミクパにしても、僕は横目で見ていたんですけど、すごく面白そうだし、すごくやりたい。
―― じゃあ、やりたい! と書いておきましょう。
武井 PAの仕事は、必ずしも好きなアーティスト、好きな音楽を担当できるとは限りません。今回、条件反射的にデPフェスをやらせてくれと言って、「じゃあお願いします」ということになったのは、幸せな仕事の振られ方でしたね。
―― もっと大きなキャパの会場でも観てみたいですね。それこそアリーナとか。
武井 デPも「武道館はやらねー」とか言ってたけど、デPの音楽をもっと多くの人が聴いてくれるといいなと思いますね。
―― その可能性はゼロではないと。
武井 いやいや、めちゃくちゃ高いと思いますよ。supercellなんかも成功してきているわけでしょ。それに、まだ始まったばかりじゃないですか。5年後、10年後のシーンのトップクラスに来る人達が、この界隈には何人もいると思います。将来がすごく楽しみですね。
(次回はデPバンドのリズムの要、ショボンさんのインタビューを予定しています)
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。
■Amazon.co.jpで購入
この連載の記事
-
第164回
トピックス
より真空管らしい音になるーーNutubeの特性と開発者の制御に迫る -
第163回
トピックス
超小型ヘッドアンプ「MV50」のCLEANは21世紀の再発明だった -
第162回
トピックス
欲しい音を出すため――極小ヘッドアンプ「MV50」音色設定に見る秘密 -
第161回
トピックス
最大出力50Wのヘッドアンプ「MV50」は自宅やバンドで使えるのか? -
第160回
トピックス
新型真空管「Nutube」搭載ヘッドアンプのサウンドはなにが違う? -
第159回
トピックス
開発で大喧嘩、新型真空管「Nutube」搭載超小型ヘッドアンプ「MV50」のこだわりを聞く -
第158回
トピックス
唯一無二の音、日本人製作家の最高ギターを販売店はどう見る? -
第157回
トピックス
「レッド・スペシャルにないものを」日本人製作家が作った最高のギター -
第156回
トピックス
QUEENブライアン・メイのギターを日本人製作家が作るまで -
第155回
トピックス
QUEENブライアン・メイのギターは常識破りの連続だった -
第154回
トピックス
てあしくちびるは日本の音楽シーンを打破する先端的ポップだ - この連載の一覧へ