ボカロPをはじめとしたニコニコ動画界隈のプレイヤーがステージに上がり、ボカロ曲を演奏するライブイベント「ドキッ☆ ボカロ曲だらけの生ライブ」、通称「ドキ生」最終回が、新宿BLAZEで7月16日~17日の2日間にわたって行なわれ、無事終了した。
ドキ生は純然たるアマチュアイベントでありながら、キャパ800人のライブハウスを2日間満員にした。これだけで快挙と言っても構わないのだろうが、まずオーガナイズが完璧で、音響も最高。だから出演したバンドは素晴らしいパフォーマンスを披露し、観客もそれに応えた。いわゆる同人系イベントにありがちな、アマチュアリズムに甘えたところが一切ない、きわめて質の高いイベントだったことに最大限の称賛を送りたい。
その興奮冷めやらぬライブが終わった後の中打ち(会場で行なわれる打ち上げ)で、関係者からコメントをもらうことにした。
まずドキ生を2年2ヵ月に渡って支え続けた、主催者のにいとP(アカサコフ)さんと、副主催のいぶし銀次さん。それからデPフェスでも大活躍し、今回のドキ生も担当したPAの武井一雄さん。そしてドキ生で生まれ、これからもパーマネントなバンドとして活動していくというet nuのメンバーに、ライブ後の感想を聞いている。
et nuについては、顔を合わせる人が皆「あのバンドはヤバいね」「一体何者なんですか?」と口を揃える程、バンドとしての存在感が際立っていた。ナノウさんのボーカルの表現力の高さは改めて言うまでもないことだが、特にリズムセクションの沈み込むようなグルーヴ感は、結成されて間もないバンドとは思えないほどだった。
※ 記事の最後に、当日のセットリストと会場で撮影したスナップショットをドドドドーンと掲載するぞ! ファンの方はどうぞ最後までお見逃がしなく!(編)
ナノウ(Vo/G) / ルシュカ(Key/Vo)
―― 今日の演奏は素晴らしかったですね。
ナノウ ありがとうございます。もともとドキ生で演奏するため集まったバンドなので、最後のドキ生に誘っていただいたということが、まず一番嬉しかったんです。メンバーも最初から士気が高かったというか、絶対いいライブにするぞと思っていたので。今日は本当にいい演奏ができたんじゃないかなと思います。
―― 文句なく最高の演奏でした。さて、ルシュカさんがこのバンドを組織した“主犯”だそうですけど、ルシュカさんは何者ですか?
ルシュカ ただの人です!
ナノウ ちょっと音楽が好きなだけの?
―― 音楽少女の憂鬱ですか!※
※ ナノウさんの「文学少年の憂鬱」にそんな歌詞があるのである(編)
ルシュカ ナノウ君が「俺、友達いないから誰か探してくれないか」というので、前から一緒にやりたいなと思っていた演奏者さんに声をかけてみたんです。今回の合わせは本当に急ピッチだったんですが、何度もライブをやっている仲間だし、ドキ生にもすごい思い入れがあるので、恩返ししたいという気持ちで渾身のライブができたと思います。
―― このバンドでは歌わなくていいんですか?
ルシュカ 私は自分が歌うよりも、歌が上手い人のバックで何かしている方が好きなんですよ。
―― ご自身もメチャクチャ歌上手いのに。
ルシュカ このバンドでは、私はキーボードとコーラスがメインなので。ナノウボーカルを引き立てるべく、みんな頑張ってます。
―― ナノウさんが歌うというコンセプトのバンドなんですね。ギターも控えめで。
ナノウ ギターは町屋さんというすばらしい方がいるので。et nuでの自分の仕事は、ボーカリストとしていい歌を歌うことだという意識でいます。
ルシュカ 前に“貴族院”という別のバンドでドキ生に出たことがあって、そのときナノウ君が歌ったのは一曲だけだったんですね。でもそれを聴いたアカサコフさんから「今度は一曲だけじゃなくて、メインでボーカルやってみないか」というお話をいただいて。メインで歌うことは最初から決まっていました。
―― じゃあ、アカサコフさんが主犯なんですね。ところでナノウさんは今、ご自身のアルバムも作られたり、別のバンドの活動もあったり、ものすごく忙しいと思うんですが、最終的にはどこを目指しているんですか?
ナノウ VOCALOIDやニコ動で集まって、こうしてライブをやることとか、それとは関係のなくインディーズでやっているバンドにしても、それぞれ全然別の可能性があると思うんですよ。最終的にどこに着地していくか、自分では分からないことろもあるんですが、どれに対しても自分は未知の可能性を感じています。
―― 死にはしないかと心配なんですが。
ナノウ いや、若干そのしわ寄せがこの夏くらいに襲いかかってきそうな予感がしているんで……。身体はひとつしかないので、これからは色々相談しつつになると思うんですけど。できる限り色んなことはやっていきたいと思っています。
ナノウとしての新譜は9月発売だ!
▼Waltz Of Anomaries/ナノウ
発売: 2011年9月7日
価格:2100円(税込)
品番:DGLA-10007
収録曲(曲順未定): 3331(新曲)、Waltz Of Anomaries(新曲)、OTOMORIUTA(新曲)、青空の日(新曲)、ソレカラ(新曲)、Insomniac(Feat. MARiA)、ハロ/ハワユ(Feat. ばずぱんだ)、文学少年の憂鬱(Feat. リツカ)、サクラノ前夜(Feat. Φ串Φ)、ヒトリ(ナノウ独唱)
(※元Syrup16gのキタダマキ(Ba)と中畑大樹(Ds)もレコーディングに参加!)
8月はet nuのライブが2回観られるぞ!
▼「ちょっかな」
日時:2011年8月14日(日) 開場 14:00 開演 14:30
会場:新宿BLAZE
チケット:3800円(ドリンク代別500円)
出演:Asriel / eufonius / 民安★ROCK / et nu / G5 Project(Godspeed,a2c,ニケ) / 六弦アリス / C-CLAYS / 回路-kairo- / takrockers!! / 音影 / 白石稔 with Naked City.
▼「ナノウ presents (・xW)-MUGEN FES Vol.1」
日時: 8月27日(土) 開場 17:30 開演 18:00
開場: 吉祥寺Club SEATA
出演: et nu / 優しくして♪ / カナリア / Hollow / JUDGEMENT
チケット申込み: 7s-ticket.com
問い合わせ: DISK GARAGE 03-5436-9600(平日12:00〜19:00)
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