今回も裏には「プロの犯行」があった
なお、すべての演目が終了した後、客出しの曲として流れたのが、歌詞の分からない人にはただひたすら感動的な「栗とリス」であった。ここで不覚にも涙していたお客さんはいなかっただろうか。
果たして人間はデPの曲をやり切れるのか。まずデPフェスへの興味はそこだったが、こうしてデPバンドはメドレーも数えて全20曲を演奏。デPは前座も含めて27曲を演り切り、終演後にはロビーで来場者へのサインに応じるなど、その絶倫ぶりを示したわけである。
ただ「デPフェスをやります!」と、デPがTwitterで宣言したときに、これは面白そうだと期待する反面、不安な要素もあった。ただでさえ難しいデPの曲をライブで演奏するというのに、PAは大丈夫か? ということである。
過去、同種のライブで、演者とPAオペレーターの技量不足で失敗した例をいくつも見てきた。音が良くないのはもちろん、ハウリングが止まらなかったり、演者向けのモニターが酷くて、バンドの演奏がグズグズになったり。ただ、ライブハウス側もギリギリのところで運営していて、そこにコストをかけられない事情もある。
が、先の「デPフェスをやります!」宣言にすかさず「PAをやらせてください!」とリプライする人が現れた。アリーナクラスの会場でPAを担当する、有限会社パブリックアドレス社長の武井一雄さんだ。その結果、武井さんがデPフェスのPAを担当することになった。
デPフェスはリハから見学させてもらったが、念入りにモニターのチューニングを行っていたのが印象的だった。本番でも普段聴いているこのハコの音よりヌケが良く、ステージ上の演者もやりやすそうに見えた。また、武井さんの提案でライブレコーディングも行なわれている。そこで終演後、デPフェスの影の功労者でもある武井さんにインタビューを申し込み、後日、新木場にある会社にお邪魔することにした。
(次ページに続く)
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