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鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第33回

複数枚超解像に、ネット機能と、最新技術がてんこ盛り!

ソニーBRAVIAの最上位機「HX920」はこんなに凄い!!

2011年04月13日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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3D映像も明るくて見やすい

別売となる新しい3Dメガネは、ホワイトとブラックの2種類が用意される。サイズは標準のみで、小型サイズは昨年のものが継続販売となる

別売となる新しい3Dメガネは、ホワイトとブラックの2種類が用意される。サイズは標準のみで、小型サイズは昨年のものが継続販売となる。予想実売価格は1万円前後

 インテリジェントピークLEDの仕組みは3D表示にも応用されている。液晶テレビでの3D表示では、右目用の映像から左目用の映像に切り替えるとき、LEDを消灯してクロストークを低減しているが、そのため画面が暗くなる。

 そこで、LEDを点灯するときには消灯時の電力分だけLEDを明るく発光させることで、明るさの低下を抑えている。これにより、3D映像でもより明るく見やすい映像になっている。

 3D映像に関してはもうひとつ「タイミングコントローラー」という技術も盛り込まれている。これは、左右の映像を書き換えるときの描画タイミングを制御するもので、画面上部の書き始めはゆっくりと、画面下部の書き終わりは素早く描画することで、全体的な書き換え時間を短くしている。このため、左右の映像が混ざっている時間帯が短くなるので、クロストークがより少なくなる。

 実はこの技術、倍速表示のEX720やNX720にも採用されている。倍速表示では、4倍速のように左→書き換え→右→書き換えという表示が行なえず、常に映像のどこかが書き換わっている状態となるので、クロストークが発生しがち。しかし、タイミングコントローラーを使えば書き換え時間が短くなるので、倍速表示でもクロストークの発生を少なくできる。EX720のレビュー記事で、倍速表示ながらクロストークの発生は昨年モデルと変わらないレベルだったと書いたが、その秘密がこれだったのだ。

 その3D映像はクロストークが少なくなったことでより見やすい印象となり、映像のチラツキ感もさらに収まっていると感じた。

 基本画質の向上や動きの鮮明さの向上と相まって、映像の立体感や3D映像への没入度も向上していた。3D映像を見続けていても目に負担がかかる感じも少なくなったので、3Dゲームなどを長時間プレイしたいという人にも安心だ。

昨年の3Dメガネ(標準サイズ)との比較。全体的なフォルムは似ているが、レンズ部がやや大きくなり、デザイン的にも洗練された

昨年の3Dメガネ(標準サイズ)との比較。全体的なフォルムは似ているが、レンズ部がやや大きくなり、デザイン的にも洗練された

下部にはUSB端子があり、USBケーブルを使った充電にも対応。このため内蔵電池はボタン電池から充電池となった

下部にはUSB端子があり、USBケーブルを使った充電にも対応。このため内蔵電池はボタン電池から充電池となった

 別売で用意される3Dメガネにも新型モデルが登場した。デザインが洗練され、カラーバリエーションも2色が用意されている。最大のポイントはUSB接続による充電が可能になったこと。電池式では交換が面倒なので、充電して使えるのはうれしい。

 ちなみに充電時間は30分のフル充電で約30時間となるが、3分間の急速充電でもおよそ3時間使用できる。これならば、3D映画を見ようと思ったときに3Dメガネのバッテリーが切れていても、およそ3分待つだけで3D映画が1本楽しめる。このあたりのバッテリー充電の仕組みには、ウォークマンやハンディカムで培ったスタミナ設計が生かされている。

映像調整のノイズリダクション設定。画面全体のランダムノイズに効果のある「ノイズリダクション」のほか、「MPEGノイズリダクション」と「ドットノイズリダクション」を個別に調整できる

映像調整のノイズリダクション設定。画面全体のランダムノイズに効果のある「ノイズリダクション」のほか、「MPEGノイズリダクション」と「ドットノイズリダクション」を個別に調整できる

 2D/3Dに共通するノイズリダクション関連では、デジタル放送で目立ちやすい「MPEGノイズリダクション」や、暗いシーンの映像で目立ちやすい感度アップによるノイズを抑える「ドットノイズリダクション」を個別に設定できる。

 これも複数枚超解像での複数フレーム参照の効果で、ノイズの判別を高精度に行なえるようになったため、低ノイズ化の効果も向上している。動いているシーンだけでなく、映像は全体にノイズ感の少ないものになっており、非常に見通しがいい。

画質も機能も大幅に進化した液晶テレビ春モデル

 このように、従来の高画質技術に合わせて、数多くの高画質技術が投入され、HX920シリーズもまたかなりの映像の進化が実現された。前回の東芝「REGZA Z2」も含め、今春の高画質モデルはいずれも実力派ばかりだが、特に液晶勢の画質の進化には目を見張るものがある。

 これに加え、インターネットテレビとしての機能も大幅に強化されるなど、HX920シリーズに代表されるソニーの今春モデルはかなり魅力的だ。

 毎週のように各社のテレビを褒めちぎっていると、さすがに筆者の発言に対する信用度の低下が不安になるが、良いモノは良いのだから仕方がない。そして、それぞれには個性の違いもあり、それによって好みの映像とそうでないものはある。

 今春モデルはどれを選んでも失敗はないと思うが、それだけに好みに合わせてじっくりと吟味することが重要になると実感した。

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