今回から始まるこの連載は、オーディオ&ビジュアルのトレンドをもっと多くの人に知ってもらうことが最大の目的。オーディオ&ビジュアルにあまり詳しくない人だと、イマイチ関心が低い最新技術などをわかりやすく解説し、その面白さをわかってもらいたい。
そこで、オーディオ&ビジュアル初心者に最新のオーディオ&ビジュアルを体験してもらい、筆者が解説する。今回はASCII.jp編集部の編集者Mくんに協力してもらった。
自宅のアナログテレビを地デジテレビに買い替える予定とのことなので、今回は「3Dテレビ」を題材にしてみる。昨年以来各社から3Dテレビが発売されているが、肝心の3Dソフトがまだまだ不足気味で、今年になるとイマイチ話題も盛り上がりにくくなっている印象がある。
まず、Mくんがどれくらい3Dテレビについて知っているか、探ってみる。
鳥居:Mクンは3Dテレビについてはどれくらい知ってるの?
M:映画の「アバター」が人気になったとか、家電量販店のテレビ売り場でテレビの前にメガネが固定してあるのを見たことはありますよ。
鳥居:映画館でも、テレビ売り場でもいいけど、実際に3Dの映像を見たことは?
M:子供の頃に赤と青のメガネを使う奴(アナグリフ方式)を見た記憶はありますね。
これはもう、初心者というより未経験に近い。それ以前に、興味すらなさそうだ。彼の知っている3Dと現代のフルハイビジョン3Dはまるで別物であり、そのあたりを説明すれば、まずは興味を持ってもらえそうだが……。
3Dって、どうやって表示しているの?
まずは3D映像の基本的な仕組みを紹介しよう。人間の目が遠近感や距離感といった立体感を感じる仕組みにはいくつかあるが、その代表と言えるものが「両眼視差」というものだ。
右目と左目は数センチ離れた場所にあるので、片目を閉じて景色を見てみると微妙に見え方が違っている(顔の前に指を立ててみるとわかりやすい)。その微妙に位置関係がずれた2つの映像を脳内で合成することで、距離感を認識しているわけだ。
3Dテレビはこの仕組みを利用して、右目用と左目用の映像を2つ用意して表示する。実写で撮影する場合も、撮影するレンズや撮像素子が2つある「二眼カメラ」を使っている。
これをどうやって右目用の映像は右目だけに、左目用の映像は左目だけに見せるかが問題で、さっきの赤/青メガネのアナグリフ方式は、それぞれの映像に赤と青の光を重ねて表示する。
赤/青メガネは同じ色が重なった映像しか透過しないので、右目と左目に異なる映像だけを見せることができるというわけだ。実際、3D映像としての立体感は十分に得られるが、赤い映像と青い映像が混ざった状態になるわけだから、色再現が変なことになる。
そこで、現在の3Dテレビはどうしているかというと、右目/左目の映像を1コマずつ、交互に切り替えて表示し、3Dメガネはそのタイミングに合わせて右目/左目のシャッターを開閉することで、右目には右目用の映像だけが映るようにしている。
これは「フレーム・シーケンシャル」と呼ばれる方式で、左右の映像を切り替えているからフルハイビジョン解像度の高精細な3D映像を実現できる。ディテール再現だけでなく色再現もフルハイビジョンとまったく同じ情報量がある。左右の映像があるわけだから、実際には2倍近い情報量を持っていると考えていい。
3D映像の表示方式にはほかにも、テレビ放送で採用される「サイド・バイ・サイド」方式などいくつかあるし、3Dメガネも液晶シャッターを備えた「アクティブシャッター型」のほかに偏光レンズを使う「パッシブ型」があり、メガネの要らない「裸眼3D」というものもある。
そのあたりまで踏み込んでしまうとややこしくなるので、今回は3Dテレビとしては主流となるアクティブシャッター型の3Dメガネを採用した方式で、3D映像を体験してもらう。映像ソースもBlu-ray 3Dソフトを主に使用する。

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