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鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第33回

複数枚超解像に、ネット機能と、最新技術がてんこ盛り!

ソニーBRAVIAの最上位機「HX920」はこんなに凄い!!

2011年04月13日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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複数枚超解像は動きに強い!!
最大の魅力「高画質」の秘密に迫る

「X-Reality PRO」を構成する2つのチップ。左が「X-Reality」で、右が「XCA7」となる

「X-Reality PRO」を構成する2つのチップ。左が「X-Reality」で、右が「XCA7」となる

一枚超解像と複数枚超解像技術の端的な違いを解説した図。最大の違いは映像の動きに強いという点だ

一枚超解像と複数枚超解像技術の端的な違いを解説した図。最大の違いは映像の動きに強いという点だ

データベース型複数枚超解像の解説図。映像を構成する画素の特徴を、複数のフレームを参照して分析し、データベースと照合して精細な情報に変換する

データベース型複数枚超解像の解説図。映像を構成する画素の特徴を、複数のフレームを参照して分析し、データベースと照合して精細な情報に変換する

データベース型超解像技術の特徴を分かりやすく解説したもの。さまざまな映像の特徴に合わせて最適な処理が行なえることを、学校のクラスになぞらえて解説

データベース型超解像技術の特徴を分かりやすく解説したもの。さまざまな映像の特徴に合わせて最適な処理が行なえることを、学校のクラスになぞらえて解説

 HX920シリーズの最大の魅力は「高画質」である。新搭載となった画像処理エンジン「X-Reality PRO」は、従来の画像処理エンジン「X-Reality」に、新開発の映像処理チップ「XCA7」を追加したもの。このXCA7がデータベース型複数枚超解像処理を行なう。

 X-Realityのみでも、オブジェクト型超解像技術が利用できるが、こちらは表示フレームだけを参照する一枚超解像だ。輪郭や色、テクスチャといった映像の要素ごとに最適な処理を行なう仕組みで、超解像の手法も異なる。

 データベース型超解像技術では、複数のフレーム情報を参照することで映像の動きの向きと速さがわかるので、それらの情報と合わせて画素の特徴がより高精度に分析できる。各画素の特徴がわかったら、それと合致する情報をデータベースと照合する。そして、より高精細な映像へと作りかえる仕組みだ。

 データベース型超解像のメリットとしては、HD画質の映像をはじめ、SD画質、インターネット用の低解像度動画など、さまざまな種類の映像に対応しやすいことがある。映像の種別(HD、SD、ネット動画など)ごとに数千種類のデータベースを持っており、それぞれに最適な処理が行なえる。このため、どんな映像でも精度の高い処理が行なえるという。

複数枚超解像の効果を調整できる「リアリティークリエーション」の比較。上が「オート」で、下が「切」。細部のディテールを含め、映像の情報量がアップする

複数枚超解像の効果を調整できる「リアリティークリエーション」の比較。上が「オート」で、下が「切」。細部のディテールを含め、映像の情報量がアップする

 その効果は、やはり動きのある映像で真価を発揮する。オブジェクト型超解像技術が採用されたHX900との比較では、細かいディテールの再現性はどちらも同等ながら、動きにともなうチラつきがかなり少なくなっていることが確認できた。

 SD画質の映像のアップコンバートでも、ディテール感などの向上がはっきりと確認できるが、それ以上に全体に見通しの良い映像になっていた。どちらかというと、高精細さを欲張るのではなく、動きのスムーズさを含めて映像の奥行き感などの情報量が総合的に高まっていると感じた。

リアリティークリエーションのマニュアル調整項目。精細度とノイズ処理をそれぞれ100段階で細かく調整が可能だ

リアリティークリエーションのマニュアル調整項目。精細度とノイズ処理をそれぞれ100段階で細かく調整が可能だ

 複数枚超解像の効果はオートのほか、マニュアルでも調整ができ、精細度とノイズ処理をそれぞれ100段階で調整できる。精細感とノイズ感は本来は対立する要素で、精細さを高めればノイズ感が目立ちやすくなるし、逆もまた然り。そこを、複数枚超解像処理の力で、精細感を高めつつもノイズ感も目立たせないという処理が可能。

 もちろん、どちらも最大まで高めれば、強調感の強い不自然な映像になってしまうので、好みに合わせて精細さとノイズ感の案配を調整するといいだろう。

 X-Reality PROに搭載された高画質技術には、もうひとつ「SBM for V(Super Bit Mapping for VIDEO)」がある。これはすでに同社のBDレコーダーでも採用されている技術で、8bit映像を14bit相当の高階調映像としてパネルに出力する技術だ。

 夕焼けの空や室内の壁の微妙な色の変化をなめらかに再現し、色の変化が等高線のような模様になってしまう“カラーバンディング”を低減する技術だ。この技術も映像のすべてに適用するのではなく、カラーバンディングが目立ちやすい、ディテールの変化の少ない部分(平坦部)にのみ処理を行なうようにしている。

 このため、例えば手前のオブジェクトの質感などの階調感はそのままに、背景の壁の階調感だけをスムーズにしてくれる。

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