このページの本文へ

四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第21回

ネットに「パーソナリティ」は必要か――聴き専ラジオの考え方

2010年04月24日 16時24分更新

文● 四本淑三

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

聴き専と「メディア」

―― たとえば聴き専ラジオに対抗勢力はいないんですか? TVKに対するスペースシャワーTVみたいなものとか。

NezMozz おーい、出て来いー!

B-SAKATU ないですね。聴き専で企画を立ててやっているところはないですね。

―― もし対抗勢力が出てきたら、オリジネーターとしてはどうですか?

B-SAKATU いや、むしろ出てきてほしいです。自分以外の聴き専の話が聞きたいし、そもそもラジオを始めた動機がそれだから。

―― いま広告で成り立っているメディアは難しいことになっている。だから聴き専のスペシャリストに期待している部分もあるんです。例えばぼくが子供の頃に書いていた音楽誌は「聴き専雑誌」みたいなもので、かつ同人誌からスタートしているんですよね。

kosyu ユーザー側からメディアが立ち上がってくるかも知れないということですか?

―― その可能性も含めて僕はすごく興味深く思っていますね。

NezMozz それがユーザーから生まれるとも、生まれないとも言えない状況なので、言いたいことがあるヤツはみんな出てきてしゃべればいい!

―― ははは。

NezMozz 産業としての甲斐性を失いつつあるんですよね。音楽もメディアも。ただ、(マスを相手にする産業構造は)ミニメディアとは受け手の信用の担保が違う。大きなメディアにも役割があると思うんですよ。併存する意味があると思います。

―― それはメディアを経験しているからこその視点ですよね。でも僕は大きなメディアには興味がありません。

NezMozz 確かに、たくさんの人が飛びついて、数字が出て、それがメディアパワーにつながる時代は終わりつつある。小さなメディアが乱立して、そのメディアをそれぞれが選択する。それで一旦パワーは失うけれど、新しい状況は生まれてくるだろうとは思う。

kosyu 自分がその役割を負えるとも思わないし、そんなに大したもんじゃないなと思うんですよ。「大したものじゃない感じ」で推移していって欲しいと思います。たとえばニコニコ内で言うと、生主をやって曲を流している人、マイリストを作って網羅的に並べている人もいる。

NezMozz 「マイリス職人」と呼ばれている人たちですね。

―― 状況を俯瞰するのにはパーソナリティが必要ないということですね?

kosyu そうですね。

B-SAKATU 僕も「この人の紹介なら」という風にはなってほしくないですね。「この傾向が好きな人たちの紹介で」という流れで進んでいってほしいです。だからラジオで聴き専として自分の名前が立つのもどうかなと思っていて。

NezMozz だから聴き手のパーソナリティを立てるより、小さくてもいいから、テーマを設定してしゃべろうとか。そういう工夫はしていますよね。

―― それでもシーンに関わっていることには変わりはないわけですよ。

NezMozz かと言って、なんだか偉そうにシーンを作るという気にもなれない。作り手への敬意というよりも、作り手の方がクローズアップされていなければならないと思います。

―― では聞き方を変えましょう。ボカロシーンはどんどん変化を続けていて、細分化の方向にあると思うんです。今の状況をどう捉えていますか?

NezMozz もっと細かくなれ! と思います。それこそ今まであった音楽そのもののように細かく、広くあれと思います。いまボカロでくくられていることが不満ではあるので。その水先案内人としての役割はあると思います。たくさんの物量の中で迷ったら、私たちを思い出して聴いてもらえればいいと思いますね。ああ、まとめちゃった!

(では最後に「聴き専」3人が選ぶ必聴盤&必聴曲をお楽しみください)

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン