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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第21回

ネットに「パーソナリティ」は必要か――聴き専ラジオの考え方

2010年04月24日 16時24分更新

文● 四本淑三

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今までは犬とか壁に語りかけていた

―― 「聴き専ラジオ」の始まる経緯を教えて欲しいんですけど。

NezMozz バーサクさんが始めたんですよね。

B-SAKATU えーと、去年の秋に「エアボーマス9」という、割と内輪のイベントが。

―― なんですかそれは?

B-SAKATU ボーマスに行けない人が、36時間ぶっ通しでラジオをやっていたんです。そこにPじゃない人たち、生主とか、絵師さんが出てきて、だったら聴き専の話も聞きたいなと思っていたんです。自分以外の濃い意見も聞いてみたかったから。その時に「はてブ最速のクマー」を誘ったんですね。

ボーマス : 「THE VOC@LOiD M@STER」。ボーカロイドを軸にしたCDや本などのフリーマーケットを中心としたイベント
生主 : ニコニコ動画で生放送で動画を配信する人。特に「ユーザー生放送」サービスを使う人のことを指す

NezMozz そのテスト放送をやろうという時に、Twitterで「誰かしゃべりたい人、カモン!」と言っていたので、それにホイホイ乗ったのが私です。

―― ラジオは何が楽しいですか?

NezMozz 今まで犬とか壁に向かって語りかけていたことが人に聞いてもらえて……。

―― 犬に話してたんですか!

犬に話していた

NezMozz ええ。犬、聞いてくれますよ。ボーカロイドの何がいいとか、どの曲が面白いとか、何がグッとくるのかとか。でも、そういうことは、だいぶグダグダになった居酒屋で話すようなことじゃないですか。わざわざ誰かの襟首つかんで言う話でもない。曲を紹介すると同時に、そういう話も出来たら楽しいなと。

―― 犬と違って反応も言葉で来るわけですよね。

NezMozz 一番嬉しいのは、ラジオでかけた曲を「マイリスした」っていうコメントが来た時ですね。

B-SAKATU 最高ですよね。自分が好きな、埋れていた曲をブクマしてもらえると「やった!」と思います。

NezMozz それでも「お前、いいから聴けよ」というのが基本です。今までの音楽シーンならそれが出来たんですよね、居酒屋やライブハウスなんかで。それがボカロだとできないんですよ。

―― そうか、場所がないですからね、ネット上でしか。僕個人はナビケーターとして、ラジオの存在はありがたいと思っているんですが。

NezMozz それが狙いでもあるんですが、目的化してもいけないと思うんですよ。

―― というのは?

NezMozz だって近いじゃないですか、作者と聴き手の距離が。聴き専ラジオの3人にも、それぞれ好きなPや仲の良いPがいるんですよ。でも関係性で聴くようになっても嫌だし、この人がリコメンドするから、という権威になりたくない。なってはいけないんです。だから「いいから聴けよ」っていう、飲み会の延長線上にありたいと思うんです。

―― 確かにその辺のバランス感覚は必要ですね。僕らもそれは実感します。

NezMozz 前に週刊歌らんさんも言ってましたよね、ラジオにゲストとしてお呼びしてお話を伺ったんですけど。

歌らんさん : 週刊ニコニコ歌ってみたランキングの「中の人」。ランキングの一覧はこちら

週刊ニコニコ歌ってみたランキング

kosyu ランキングを作っている編集人としての立場、ということでしたね。

NezMozz 編集を手伝ってもらっている歌い手さんは、ピックアップには載せないとか。癒着を避けたいというバランス感覚でしょうね。

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