長らく続く不況でオフィスのコスト削減がいっそう見直される昨今。オフィス機器の中でもプリンターは電力に加えて用紙・インク(トナー)も消費するため、コスト意識の対象になりやすい。照明や空調の時短による電気代節約は基本だが、この機会にプリント環境も見直してみよう。
プリンターのランニングコストといえば、基本的には用紙代、インク・トナー代、使用時や待機時の電気代が思い浮かぶ。オフィスプリンターでは長期に渡って利用する場合、保守・修理などのメンテナンス費用も加わってくる。すぐに実行できて効果が現われるものと言えば、まずはプリントアウト頻度そのものを減らすことだ。
その1――印刷状況を正しく把握すれば
不要な印刷は削減できる
会議の資料や社内通達など、ドキュメントを電子化することで紙文書を減らせるのは今や当然なのだが、やはり手元に残したい紙資料や、プリントアウト後に注釈を入れるなど、印刷の必要性も依然として高い。印刷頻度をいきなりゼロにはできないのが現実なので、まず不要な印刷機会を減らすことから始めたい。
オフィス用のプリンター・複合機メーカーの多くがプリンター管理ソフトウェアを提供している。ジョブの管理や稼動状況の調査、エラー報告などを、クライアント側で「見える」化できるようになっている。左はリコーの「Ridoc Desk Navigator」、右は沖データの「PrintSuperVision ME」
「必要性の高いプリントアウトやコピー以外は控えましょう」的な社内通達やハリガミをプリンター(複合機)に貼り付ける。これはこれで社員のコスト意識を高める効果が期待できていいのだが、なにより部署ごとにどれだけ印刷コストをかけているのかを把握することが重要だ。
最近のオフィスプリンターやカラー複合機は、比較的低価格の製品でもネットワーク接続が標準搭載になりつつある。単にプリンター共有できるというだけではなく、接続されたネットワークや印刷要求のあったPCを個々に認識し、どのグループ、どのPCから何枚印刷したかを履歴が残るようになっている。製品内部に記録を残すものや、プリントサーバー側のソフトウェアで実現するものなど仕様はさまざまだが、なにより部署・部門別の印刷頻度を把握して、印刷が多い部門はなぜ多いのか、枚数を減らすにはどうすればいいかを検討することから、印刷のムダを省いていきたい。
しかし、オフィスの印刷を一手に担うようなコピー機ベースのカラー複合機などは、情報システム部門が使用頻度を管理できるものの、部署単位や島(デスクのひとかたまり)でローカルな使い方をしている個々のプリンターまではなかなか把握できないのも確か。
たとえば一部署でしか用いていないカラー大判プリンターにトナー補充が毎月のようにかかる。でも、実際にはどんな使われ方をしているのか把握できていない、というのは問題だろう。日本HPではこのようなケースを想定して「HP Web JetAdmin 10.0」といったソフトウェアを用いて、オフィスプリンターの一括管理を実現している。
どの部署(どのPC)がいつ何枚印刷したか、といった稼動率の調査から、各種トラブルの検知・報告まで。従来は部署単位で行なっていたプリンターをネットワーク経由で管理できるのは、管理者側だけでなく個々のユーザーにとっても利便性の高いはずだ。プリントコストを削減できるだけでなく、プリンターへのアクセス制限をかけることで不用意なプリントアウトから社内情報が漏れるといった事故の防止、セキュリティー向上でも役立つため、集中的なプリンター管理は今後オフィスの要となりそうだ。

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