チームにおけるコミュニケーションの取り方
聞けば、このサイトはネット広告のインタラクティブチームと映像のムービーチームの共同作業によって生まれたという。特に前者のチームからは、サイトに技巧を凝らすアイデアや技術が豊富に提案されたという。
堀 たとえば、女の子が成長する過程で人生の選択肢を作っちゃう? とかね。
しかし、そうしなかった。今回の制作で最も苦労したのは、いかに余計な情報や操作をなくしてシンプルに見せるか、ということだったという
堀 ただ今回の場合、どのように時系列を設計するのかというのがすごく難しかったです。そもそも2つのチームは互いに文化も仕事の仕方も違う。普通の仕事ではなかなか交わらないんですね。それが今回は最初の企画段階から一緒になって考え、お互いの領域を侵犯しながら、作業を進めていったんです。
桜子 2つのチームが協力しあうというのは難しいことですよね?
堀 ええ、もちろんコンフリクト(衝突)しましたよ(笑)。
桜子 そこをリーダーとして乗り越えた秘訣は何でしょう?
堀 そこに王道はないです(笑)。ともかく一緒に長い時間を過ごす、ということじゃないでしょうか。最初はお互いにロールプレイというのか、各自の部署からそれぞれ役割を担って参加しているから、牽制したり、緊張しますが、いいものを作ろうという共通項があれば、まとまっていく。そういうものですよ。
桜子 各自が色んな意見を出してくる中で、ご自分の考え方がブレることはなかったですか?
堀 ありません。僕は、基本的にどこまでいってもユーザー視点でしか、モノを見ていないんです。コンテンツを作りだすと、作り手はつい色々と手を加えたくなってのめり込むものなんです。でも、そこは受け手目線の観点から決断していきます。僕もプランニングして一緒に作業しているから、(作り込まれた要素を)切ることは非常に心苦しいんですが、最終的にユーザーへ響かなければ意味がないですから。
コミュニケーションや広告は、受け手が優先なんですよ。送り手がどんなにいいですよ、と言っても受け手が疑問に思ったら、そちらが正しいんですよ。
桜子 それでも会議が白熱してくると、相手の勢いに飲まれそうな瞬間があると思うんですけど。
堀 ええ、ありますね!
桜子 そこはどうやって自分の考えを貫いていくんですか。
堀 作り手の文脈を理解してあげることができるか? というのがポイントです。つまり、僕は自分がユーザー視点を連発していますが、一方で作り手視点をわかっていないと絶対にダメなんですよ。もっというと、クライアント視点も同じようにわかっていなくてはならない。
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