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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第37回

写真入門にふさわしいケータイカメラ

2008年09月04日 16時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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ケータイカメラで歴史資料をアーカイブ

 そして、ケータイを入り口に美しい写真を撮れることには大きなメリットがある。手軽に撮った写真が、未来に残る財産となる可能性を秘めているからだ。

 ケータイで手軽に撮影される写真の多くは、特に加工されることなく端末内蔵のメモリやメモリカードに保存される。写真のファイルには日付や時刻、撮影情報などが残されているが、iPhoneのようにGPS搭載端末なら、写真に位置情報を記録して保存できる。

 自分の日常生活の中の一コマを記録したり、とっさに出くわしたハプニングを写真に残して話題にしたり。自分の人生が無加工でメタデータがたっぷりと付加された写真として蓄積されていく。

 今はそんなものか、と普段の生活で当たり前のように蓄積しているかもしれないが、これが10年後、30年後、あるいは100年後までキチンと保管されてメタデータと共に見られるようになっていたら、どうだろうか。

 これらの写真は風俗史や地域の歴史のアーカイブとして捉えることができる。現状はパーソナルな情報群ではあるが、こんなにも細かく、分散的に、そして大量の写真データが記録されている時代はかつてなかった。

Flickrなどの写真共有サイトでは、世界中から大量の位置情報付きの写真が集まり、アーカイブされていく。

 そんな様子を眺めていると、もしかしたら、自分が何気なく撮った写真も、人類の歴史を伝える大切な資料になるかもしれない。そう考えると、写真を上手に撮れるようになっておくのは、決して損ではない。

 SH906iのカメラから100年後の人類に思いを馳せてしまったが、写真とはそんな想像もさせてくれるほど、面白いモノ。そして、その入門機として広角のレンズ付きケータイカメラという存在がふさわしいと思うのだ。


筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET



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