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キャリア・ピックアップ 第55回

イベントレポート

IT業界で10年泥のように働いてませんよ

2008年07月28日 04時00分更新

文● 稲垣章(大空出版)

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IT業界、パネリストの説明

●SI──加藤氏(NTTコムウェア)
SI(システムインテグレーター)の仕事を定義するのは、担当している人間でも難しいです。極端な話をすると、SIはいなくてもモノは作れます。でも、何十億という規模のシステムを作るとなると、1社では担当できないので、多くのメーカーが関わってくることになる。そこで、各メーカーをまとめたり、お客さん(クライアント)とシステムの仕様を固めたり、全体のスケジュールや品質とかを管理したりする人が必要になります。それがSIのメインの仕事です」

 また、加藤氏は「他の業種に例えると、結婚式のウェディングプランナー」が近いと言う。お客さん(結婚する人たち)の希望する結婚式を聞き、どのように実現するかを考えて、ブーケを花屋さんに発注したり、ケーキを発注したりする仕事ということだ。

 なお、岩佐氏が「SIとSEの違いについて説明できるか」を会場に問いかけたところ、「できる」という人はいなかったため、「SI」と「SE」の違いについても解説した。

「SIとSEの違いは、契約前に、お客さんがどのようなシステムをやりたいのかをヒアリングして、実現案を提案するのがSE。その段階から、実際もの作りに入っていく工程で、全体を管理するのがSIです。SEからSIに業務がバトンタッチされて、システムが作られていきます」

●製造業──大谷氏(ソニー)
「製品に組み込まれるソフトウェアのコードを書いています。オーディオ機能に特化したパソコンなどを担当し、ネットMDの規格策定やプロトコル作成をしたり、パソコンから離れたところからネットを通じて動画や音楽が楽しめる製品を担当し、組み込むソフトウェアやDLNA(Digital Living Network Alliance)のプロトコル作成をしたりしています」

中央、パネリストの柴田氏(日本オラクル)

●ITソフトウェアベンダー──柴田氏(日本オラクル)
「加藤さんの例に沿うと『花屋さん』です。ベンダーのエンジニアには、大きく分けると3つの仕事があります。『プリセールス』『ポストのコンサルタント』『サポート』です。僕がやっているプリセールスは、お金をもらう前にSIやお客さんに製品の説明をしたり、実際に動くかどうか小さいプロトタイプを作って検証したりしています。ポストのコンサルタントは、製品を購入したお客さんのもとに、SIと一緒にスペシャリストとして入り、極端な話、トラブルを起こさないようにする人です。そして、トラブルが起きてしまったときに、何とかするのがサポートですね」

 こう説明すると、プリセールスは『営業に近いのか?』という疑問が浮かぶ。しかし、それは「人それぞれ」だと柴田氏は語る。

「営業みたいな売り方をする人もいますし、僕みたいに技術のことだけを話して、お客さんに『詳しいから任せよう』と思ってもらえるように動く人もいます。製造業(メーカー)との違いについて、誤解を恐れずに言うと、日本のいわゆるベンダーは、ほとんど開発はしていません。例えば、日本オラクルでオラクルデータベースのプログラムをしたいといっても、やっている人はいますが、それを目当てに入社するとガッカリするでしょう。基本的に開発をしているのはアメリカです」

パネリストの尾藤氏(ウノウ)

●サービス──尾藤氏(ウノウ)
「ベンチャーとして3年半ほど事業を行なっています。プログラマであり、サーバ管理者、CTOでもあります。会社の中では、フリーアドレス、ペーパーレス、セミナー参加制度(有給をとらなくても、レポート提出で休める制度)などを導入しています」


(次ページ、「IT業界の実態──徹夜も休日出勤もない!?」へ続く)

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