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キャリア・ピックアップ 第67回

ブログをビジネスで役立てるコツと次世代ネットマーケティング

AMN新社長“ブロガー”徳力氏に聞く

2009年02月27日 08時00分更新

文● 川添貴生/インサイトイメージ

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 「アジャイルメディア・ネットワーク」は、ブログやソーシャルメディアを軸に、企業のマーケティング活動をサポートしている企業だ。ブロガーを集めたイベント、あるいは「ソーシャルバナー」と呼ばれる独自のバナー広告などにより、設立からわずか2年で多くの企業の信頼を得ることに成功、急成長を遂げている。こうした中で「内部での責任分担の変更」に伴い、今年2月1日から徳力基彦氏が新社長に就任した。

 徳力氏と言えば「tokuriki.com」において精力的にエントリーを執筆しており、また「アルファブロガー」という著書(共著)もあるなど、ブログが日本において流行し始めた頃からバリバリ活躍されている人というイメージがある。

 ブログは今や珍しいものではない。ただ、普及したからといってその価値が失われたわけでもない。ブログをきっかけにして自分の仕事を形成してきた“ブロガー”徳力氏に、まずはブログについて話を聞いた。

――ブログを始められたのは?

徳力氏

「ネットコミュニケーションの水先案内人」。アジャイルメディア・ネットワーク株式会社代表取締役社長 徳力基彦氏

徳力氏:今のブログの前身となるものを始めたのは、2004年5月くらいですね。ただ、それまでに3回ほどブログを始めようとして挫折していました。何度か失敗した後、改めてブログを書こうと思ったのは、ちょうどCNET Japanで梅田望夫氏を中心にIT系やビジネス系の議論が盛んで、それに参加したいと考えて改めてブログを始めたわけです。

――ブログを始めても長続きしない人も多い。徳力さんが続けられた理由は何でしょうか?

徳力氏:情報発信とかメディアとして捉えると、なかなか続かないのではないかと思います。私も最初に「インターネット上で情報発信するのだから、みんなが知らないことを書かなければ」と思っていました。

 でも、特殊なことを書く必要はないんですよね。今はメールを書くのと似たような感覚で、ネットを通じていろんな人と話したり、コミュニケーションをするためにブログというツールを使っています。

 周りの人たちを見ていても、義務感でやっていると挫折するような気がします。好きなことに対する気持ちを表現することにブログを使っている人が、結果的に周りにいる同じような人たちを呼び集めているんじゃないかなと思いますね。

――ビジネスのためにブログを始めるという人も増えてきました。ブログは仕事に役立つのでしょうか。

徳力氏:人脈を広げたり、情報収集をするという意味では、ブログをやることに意味はあると思います。たとえばメーカーに勤めている人が、ブログを通じてネット業界の人たちとのコミュニケーションの機会を作れれば、本業でも活かせるというメリットがありますよね。ただ大企業では禁止されているケースもあるので、そういったリスクを負ってまでやる必要はないと思いますが。

 僕はブログはコピーロボットだと思っているんです。つねに僕のブログをチェックしてくれている人や、検索エンジン経由でたどり着いた人に対して、勝手に喋ってくれているというイメージですね。僕の宣伝というか、コミュニケーションの代わりをしてくれている。

 ブログで何かを書いておけば、それを読んでくれた人とはその内容を前提として話ができてしまう。もしそれをメールを使って1人1人に伝えようとすると大変じゃないですか。そういう意味で、ブログのおかげでコミュニケーションが楽になっています。

――ビジネスでブログを役立てるコツがあれば教えてください。

徳力氏

ブログはコミュニケーションツールのひとつ

徳力氏:リアルに会う、電話、メール、ブログというような感じで、ブログはコミュニケーションツールのひとつとして捉えています。相手の時間を強制するコミュニケーションかどうかで言えば、ブログは好きなときに見てもらえるので相手の時間を拘束しない。これにほかのコミュニケーション手段を組み合わせれば、ビジネスマンにとってはメリットがあると思いますし、実際に僕もそのメリットを実感しています。

 ただ(人脈を広げるためには)ブログだけではなくて実際に会うことが大切だと思います。そのうえで、ネット上のコミュニケーションは補完的に使うということですね。僕がこれだけネットワークが広がったのは、ブログを書いているだけじゃなくて、みんなに会いに行ったから。

 会わずにネット上でコミュニケーションしようとすると、テキストだけだと情報量が少ないし、そもそも相手のトーンが分からなくて喧嘩になってしまうこともある。でも、会えばこの人はこういうトーンだから、冗談でこれを書いたんだなということが分かるじゃないですか。

次ページ「人同士がつながってビジネスも連携していく」に続く

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