iPod touchに「プラス1万円」の価格
── なぜ、iPhoneは高値でも売れるのですか?
林 アップル直営店でiPodと並べて販売できるからです。
現在、5800円の「iPod shuffle」に約1万円足すと、ビデオを再生できる「iPod nano」が買えます。さらに約1万円足すと大容量で大画面の「iPod Classic」、もう約1万円出して3万6800円ならタッチ操作対応の「iPod touch」、そしてさらに約1万円足せば携帯電話やカメラ、スピーカー機能が付いた「iPhone」──と言われれば、それほど「高い」と感じないでしょう。
それに昨年、販売奨励金制度が崩れて「ケータイは実は高い」というのが表に出てきたので、そういう意味でもiPhoneだけが極端に高いとは思われないと思います。
── なるほど、面白いですね。
林 そもそもiPhoneが「特殊」なのは、何も日本市場だけの話ではありません。例えば米国でも、AT&TがiPhoneのような売り方やビジネスモデルを飲んだことは大きな驚きでした。
それと比べると、昨年くらいから業界再編成の議論が活発化し、ケータイ事業者も大胆な動きを見せてきている今の日本市場は、まさにiPhoneが入ってくるタイミングとしてちょうどいいようにも見えます。
── 実際に発売したら売れますかね?
林 それなりには売れるでしょう。ただ、この「それなり」というのが、どのくらいの規模なのかは、おそらくアップルにも、ケータイ事業者にも予測がつかないと思います。
斬新なケータイということで爆発的にヒットする可能性がある一方、「おサイフケータイ」など、日本ならではの便利な機能を捨てきれない人がいっぱいいて「思ったほどは売れなかった」という可能性もあります。
iPhoneの発売後、その売れ行きが、日本の家電市場の方向性や数年間の製品戦略に影響を及ぼすという側面もあると思います。いずれにしろiPhoneの国内発売は、非常に重要かつ注目すべき事件となるでしょうね。
![](/img/blank.gif)