米アップルが6月に発売を予定している携帯電話機「iPhone」。本コラムの前編ではアップルがiPhoneで目指すところを予測し、中編ではiPhoneに込められた3つのDNAのうち、1つ目にあたる「革命的インターフェースの搭載」を語ってきた。
後編では、残りの2つのDNAである、「OS Xの採用」と「元パソコンメーカーが手掛けた製品」を紹介していこう。
ジョブズが5年先を言ったと断言する理由
初代iPhoneから見て取れる遺伝子で、2番目に重要なのは「OS X」の搭載だ。アップルCEOのスティーブ・ジョブズ氏は、このパソコン用のOSを搭載することで、アップルはほかの携帯電話の「5年先を行った」と豪語する。
実際、マルチタッチジェスチャーを使った滑らかなスクロール表示や、ウィジェット表示時の疑似3Dアニメーションを見たら、ほかの携帯電話でありがちなただ画面の内容を切り替えているだけの挙動が急にぎこちなく思えてしまう。
まるで紙芝居の時代から、アニメの時代にタイムスリップしたかのようだ。紙芝居にもそれなりのよさはあるが、一度、アニメの楽しさを知った子供に同じ内容を紙芝居で見せようとしても、誰も振り返ってくれない。
Mac OS Xから受け継いだ「Core Animation」や「Core Audio」
この洗練されたアニメーション表示ができるのも、ハードウェアの表示機能をとことん活かしたOS Xの設計のおかげだ。
また携帯電話では、音楽を聴きながらウェブブラウズをしている最中に電子メールが届き、さらにメール画面に切り替えている最中に電話がかかってくることもある。
こうした処理を、問題なくこなすには、高度なマルチタスク機能が必要になる。OS Xは、まさにそれを実現するためにMacに搭載されたのだ。
実は次期Mac OS Xの「Leopard」(レパード)には、スムーズなアニメーションを作成する「Core Animation」(コアアニメーション)という映像エンジンが加わる。
iPhoneで使われている美しい数々の画面アニメーションは、このCore Animationを使っていると考えれば納得がいく。またスティーブ・ジョブズCEOは、優れた音の扱いができる「Core Audio」(コアオーディオ)を搭載していることも重要だと言っていた。