WWDC総括その1、その2に続き、今回のテーマは、23日に発表されたiPhone 3Gの料金プランだ。月額7280円という金額は高いのか安いのか、ほかのケータイ事業者にどういったインパクトを与えるのか、そして今だに求める声も聞かれる「NTTドコモ版iPhone」はあるのか、ジャーナリストの林信行氏に話を聞いた。
過去のiPhone記事
・iPhoneは大きな森を生み出す「最初の木」(前編、中編、後編)
・なぜiPhoneは人々を熱狂させるのか?(前編、中編、後編)
・林信行に聞く、iPhone日本発売はいつ?(記事)
料金体系にも、シンプルさを
── iPhoneの料金体系について、率直にどう思われましたか?
林 いろいろと「予想外」が多かったソフトバンクのiPhone販売ですが、月額利用料は「まあ、こんなものか」という予想の範囲内でしたね。
ひとつ予想外で少し残念だったのは、「ホワイトプラン」や「S!メール」など、ソフトバンクが既存のこまごまとした料金プランの名前をiPhoneでも出してきたということです。
米国で、初代iPhoneが発売されたときにいいと思ったのは、iPhoneだけ特別な料金プランがあって、しかもそれがものすごくスッキリしていたこと。通話料に応じて、値段が3種類あるだけですから。これに比べて、ソフトバンクのは分かりにくい。
── 確かに「ホワイトプラン(i)」「ブループラン(i)」「オレンジプラン(i)」と選択肢をいろいろ出されても、ユーザーはすぐに理解できないと思います。
林 今の携帯電話を分かりにくく、つまらなくしているのは、あの複雑な料金体系です。他社との比較をしにくくするための作戦がユーザーにも見え見えで、ほとんどの人が面倒なので契約時に担当の人に「お任せ」しちゃっているんじゃないでしょうか。
もちろん細かく調整できるのはいいけれど、毎月、それまでの利用統計を計って、料金プランをこまめに変更している人なんてごくわずかで、実際には「自分は間違ったプランを選んで、ちょっとずつ損をしているんだろうな」とどこかで感じながら、それで毎月我慢してしまっている。
その点、米国のiPhoneの料金プランはシンプルで、明朗で、潔くて、気持ちよかった。ソフトバンクもiPhoneの発売時に「携帯電話業界の悪い習慣である、複雑な料金体系についに大ナタをふるってくれるのでは」と個人的に期待していたので、ちょっと残念でした。