依然として「電話」も強い
しかし、そんなデータ通信が伸びている一方で、日本におけるほとんどの端末は、依然として「電話」なのだ。
例えば、ストレート型の端末はケータイがまだ「携帯電話」だった頃のスタンダードな意匠を保っている。
新しいテクノロジーとレトロ感が混在したauの「INFOBAR 2」、鉄板のようなデザインで非常にクールなドコモの「D705iμ」、薄さを極める8.9mm厚のソフトバンクの「822P」。大手3キャリアーでは、この携帯電話の意匠をおしゃれな「デザイン端末」として扱っている。
またサービス面でも、今の価格競争の主戦場は音声通話だ。「ホワイトプラン」「ホワイト家族24」で成果を挙げているソフトバンクを追随して、ドコモもやauもビジネス向けや家族間の通話を定額にした。
といっても、ドコモやauは、ソフトバンクように(時間限定だが)同じキャリアの誰とでも無料で通話できるという踏み込んだサービスにはなっていない。しかし、ここも今後の競争で変わってくるだろう。
「どこでもブロードバンド」なサービス
「ケータイ」の時代を迎えても、「音声通話」を重視しした端末やサービスがまだまだ主流だった。しかし、新規参入のイー・モバイルは、そんな状況に反して音声通話なしの状態から事業をスタートした。
イー・モバイルが2007年3月末に始めたデータ通信サービス「EMモバイルブロードバンド」では、シャープの携帯情報端末「EM・ONE」シリーズとデータ通信カードが販売された。
最大3.6Mbps(最近では最大7.2Mbps)という高速なデータ通信を月額5980円という定額で提供したというサービス内容が受けたうえ、量販店で大々的なキャンペーンを行なった効果もあったのか、1年も経たない2008年1月にはユーザー数が約23万人(電気通信事業者協会調べ)にまで増えていた。
イー・モバイルの利用者も、最近のケータイユーザー同様にデータ通信を中心に考えているわけだが、ケータイのパケット通信とイー・モバイルのデータは種類が違う。
ケータイのパケット通信において定額で利用できるのは、ケータイ向けのメールやウェブ、アプリといった、ケータイの閉じられた世界のみ。一方でイー・モバイルは、基本的にはパソコンと同じウェブサイトやサービスを使える。
イー・モバイルは、都市部では広がってきた公衆無線LANと同じ用途であり、それが点ではなく面で対応したのがEMモバイルブロードバンドといえる。
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