このページの本文へ

松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第15回

データ中心のケータイ誕生「S11HT」

2008年03月10日 16時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

依然として「電話」も強い


 しかし、そんなデータ通信が伸びている一方で、日本におけるほとんどの端末は、依然として「電話」なのだ。

 例えば、ストレート型の端末はケータイがまだ「携帯電話」だった頃のスタンダードな意匠を保っている。

 新しいテクノロジーとレトロ感が混在したauの「INFOBAR 2」、鉄板のようなデザインで非常にクールなドコモの「D705iμ」、薄さを極める8.9mm厚のソフトバンクの「822P」。大手3キャリアーでは、この携帯電話の意匠をおしゃれな「デザイン端末」として扱っている。

INFOBAR 2

auの「INFOBAR 2」

D705i

ドコモの「D705i」。なお開発元の三菱電機は携帯電話事業からの撤退を表明している

822P

ソフトバンクの「822P」

 またサービス面でも、今の価格競争の主戦場は音声通話だ。「ホワイトプラン」「ホワイト家族24」で成果を挙げているソフトバンクを追随して、ドコモもやauもビジネス向けや家族間の通話を定額にした。

 といっても、ドコモやauは、ソフトバンクように(時間限定だが)同じキャリアの誰とでも無料で通話できるという踏み込んだサービスにはなっていない。しかし、ここも今後の競争で変わってくるだろう。



「どこでもブロードバンド」なサービス


 「ケータイ」の時代を迎えても、「音声通話」を重視しした端末やサービスがまだまだ主流だった。しかし、新規参入のイー・モバイルは、そんな状況に反して音声通話なしの状態から事業をスタートした。

EM・ONE α

Windows Mobile端末の「EM・ONE α」

 イー・モバイルが2007年3月末に始めたデータ通信サービス「EMモバイルブロードバンド」では、シャープの携帯情報端末「EM・ONE」シリーズとデータ通信カードが販売された。

 最大3.6Mbps(最近では最大7.2Mbps)という高速なデータ通信を月額5980円という定額で提供したというサービス内容が受けたうえ、量販店で大々的なキャンペーンを行なった効果もあったのか、1年も経たない2008年1月にはユーザー数が約23万人(電気通信事業者協会調べ)にまで増えていた。

 イー・モバイルの利用者も、最近のケータイユーザー同様にデータ通信を中心に考えているわけだが、ケータイのパケット通信とイー・モバイルのデータは種類が違う。

 ケータイのパケット通信において定額で利用できるのは、ケータイ向けのメールやウェブ、アプリといった、ケータイの閉じられた世界のみ。一方でイー・モバイルは、基本的にはパソコンと同じウェブサイトやサービスを使える。

 イー・モバイルは、都市部では広がってきた公衆無線LANと同じ用途であり、それが点ではなく面で対応したのがEMモバイルブロードバンドといえる。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン