まずは本命、780Gのパフォーマンスをチェック
では早速ベンチでの検証に入ろう。まずは780Gの内蔵グラフィックコアのベンチマークだ。評価キットに同梱されていた「Radeon HD 3450」も利用し、Hybrid Grapics有効時および無効時(HD 3450単独動作モード)の比較も行なってみたい。ベンチ環境は以下の通りだ。
テスト環境 |
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CPU:AMD「Athlon X2 4850e」(2.5GHz) |
マザーボード:Gigabyte「GA-MA78GM-S2H」(AMD 780G) |
メモリ:DDR2 800 1GBx2 |
ビデオカード:Sapphire「Radeon HD 3450 256MB DDR2 PCIE BOX」(Radeon HD 3450) |
HDD:Seagate「ST3500630AS」(500GB SerialATA) |
OS:Windows Vista Ultimate |
【3DMark06】基準をどちらに据えるかで評価は逆転する
まずは定番「3DMark06」でのチェックだ。ビデオカードの検証だとアンチエイリアス等をかけた高画質設定も用意するのだが、Hybrid Graphicsを使ったところで所詮はストリーミングプロセッサ80個程度のオンボードGPU。そこで今回はアンチエイリアス等をかけない標準設定のみでマイルドに検証した。

「3DMark06」の結果(単位:score) better→
780G単独では全ての解像度においてスコア1000以下の惨憺たる結果になったが、Hybrid CrossFireを有効にした途端性能は倍以上に伸びる。だが、HD 3450を単独で使った状態と比較すると、わずかに上乗せされている程度で、HD 3450の性能に“おんぶにだっこ”状態であることがわかる。チップセット内かビデオカードか、どちらの性能を基準にするかで評価は変わってくるが、追加したHD 3450を基準にすれば爆発的な性能の伸びはない、といえる。
【Crysis】ドライバーの熟成度がネックか?
続いて製品版「Crisys(バージョン1.1)」を使ったテスト。本来なら画質設定は全て「高」に設定し解像度3つ用意するところだが、重すぎてテストにならないため、なんとかHD 3450でも動く画質設定「中」および「低」でテストを行ない、解像度も1280x1024の1種類のみとした。

「Crisys」本体とセットになっているGPU向けのベンチ(単位:fps) better→
このテストでも確かにHybrid Graphicsの効果は確認できるが、それでもCrysisがプレイできるような結果は出せていない。むしろHD 3450単独よりも性能が悪化しているのが気になるが、それはドライバーの熟成度に関係していると思われる。
【Unreal Tournament 3】傾向は3DMark06とほぼ同じ
最後に描画の軽い「Unreal Tournament 3」製品版でのテストだ。マップは「DM-ShangriLa」を利用し、ディテール設定を最高の「5」にしたものと中間の「3」に設定したものの2通りのパターンでテストしている。

「Unreal Tournament 3」DM-ShangriLaでのFlyby(ディテール設定5) better→

「Unreal Tournament 3」DM-ShangriLaでのFlyby(ディテール設定3) better→
こちらの結果も「3DMark06」と酷似した傾向が現れている。Hybrid Graphicsは、チップセット内蔵グラフィックとビデオカード側のGPUが対等の関係で協調動作するCrossFireというよりは、チップセット内蔵グラフィックをGPUの補助的に使うもの、と結論づけられる。
中途半端感が払拭できないHybrid Graphics
ベンチの結果で明らかになったように、Hybrid Grapicsは統合型チップセットの新しいパワーアップの形として評価できる(一応の)水準に達していると言えるだろう。
しかし、ユーザーの目線で見た場合、ローエンドPCでも3Dゲームプレイに耐えられるようにするためのアップグレードパスとしてはかなり中途半端だ。描画の軽い「Unreal Tounanemt 3」でさえ画質や解像度を絞って22fps程度(最低にすればもっと出るが、筆者個人としては画質中より下は認めたくないのだ)。HD 3450を1枚追加してこの程度なら、もうちょっとお金を足して型落ちのHD 2600 ProやXTあたりを買った方がずっと快適になるだろう。技術的に面白いとは思うのだが、ユーザーに何をさせたいのかさっぱりわからない、というのが正直な感想だ。
(次ページへ続く)

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