アスキー的パソコン大解剖 第49回
NVIDIA GeForce RTX 2070とAMD Radeon RX 590の性能比較 前世代と何が変わった? (1/4)
2018年12月24日 20時00分更新
2018年10月17日に市場に投入されたNVIDIAの新世代GPU「GeForce RTX 2070」(以下、RTX 2070)。対するAMDも2018年11月15日、「Radeon RX 580」の上位モデルとなる「Radeon RX 590」(以下、RX 590)を発表した。ここにきて価格が10万円以下のいわゆるミドルレンジからアッパーミドルレンジにあたるGPUが矢継ぎ早に登場し、市場は一気に賑やかさを増している。選択肢が増えたことはユーザーにとってありがたいことだが、どれを選択すればよいのか悩ましいというのも事実である。そこで、前世代のGPUを含めて同クラスの製品のパフォーマンスをチェックし、2018年末時点における各GPUの立ち位置を明確にしてみたい。
Turingアーキテクチャを採用するRTX 2070
高クロック版RX 580であるRX 590
まずは、新しく登場したRTX 2070とRX 590の2つのGPUについて、その仕様を説明しておこう。
RTX 2070は、「Turing」アーキテクチャに基づいたNVIDIAの新世代GPUで、リアルタイムレイトレーシング用の「RTコア」を36基と、AI推論エンジンとして動作する「Tensorコア」を288基搭載している点が最大の特徴だ。GPUコアには12nmプロセスルールで製造される「TU106」を採用し、ダイサイズは445mm2、トランジスタ数は108億となる。前世代の「GeForce GTX 1080」(以下、GTX 1080)や「GeForce GTX 1070」(以下、GTX 1070)のGPUコアである「GP104」と比べると、ダイサイズは1.4倍、トランジスタ数は1.5倍になっている計算だ。
RTX 2070のTU106では、64基のCUDAコアとL1キャッシュなどと1基のRTコア、それに8基のTensorコアが1つにまとまり演算ユニットとなる「Streaming Multiprocessor」(以下、SM)を構成。そして12基のSMが集まって「Graphics Processor Cluster」(以下、GPC)となり、そのGPCを3基有している。そのため、RTX 2070のCUDAコアの総数は64×12(SM)×3(GPC)で2304基になる計算で、GTX 1070が1920基だったので、CUDAコア数の単純比較では、RTX 2070のCUDAコアは1.2倍になっている。
そして注目したいのが、RTX 2070ではグラフィックスメモリにGDDR6を採用している点。GDDR6は従来のGDDR5やGDDR5Xに比べると、消費電力の低減化と高データレートを実現。RTX 2070のメモリクロックは14GHzと、GTX 1070の8GHzに比べるとかなり高速化がなされており、メモリインターフェースは256bitなので、メモリバス帯域幅は448GB/sと向上している。
続いてRX 590は、RX 580と「Radeon RX Vega 56」のパフォーマンスギャップを埋めるGPUで、プロセスルールには12nmを採用。RX 580では14nmプロセスルールを採用していたので、RX 590はプロセスルールの微細化を果たしている。ただし、アーキテクチャはRX 580と同じ第4世代GCNで、ダイサイズが232mm2であることやトランジスタ数が57億であること、さらにストリーミングプロセッサー数が2304基である点などは、RX 580からまったく変わっていない。
では、RX 590はRX 580とどこが異なるのかというと動作クロックである。RX 590のベースクロックは1469MHz、ブーストクロックは1545MHzと、RX 580比で前者は212MHz、後者は215MHz引き上げられている。つまり、RX 590はプロセスルールを微細化したことで、動作クロックの向上を実現したGPUであるということになる。なお、RX 590のメモリ周りは、メモリインターフェースが256bitで、メモリクロックは8000MHzと、メモリバス帯域幅も256GB/sである点を含めRX 580から何も変更点はない。
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