メルマガはこちらから

PAGE
TOP

「思い込みで、人の人生を決めていいのか」PeopleXが挑むAI時代の人事再設計

上司も気づかなかった「原石」を見つける。評価支援AIシリーズ3製品を発表

連載
このスタートアップに聞きたい

1 2 3

社長よりもAIの方が「会社らしさ」を知っているかもしれない

 では、PeopleXのAIは何を見て人を評価するのだろうか。

 多くの企業は、自社に合う人材像を掲げている。しかし橘氏は「会社らしさは社長でも言語化できない」と話す。経営者自身が理想と考える人物像よりも、実際に活躍している人材を分析した方が、その会社の本当の特徴が見えてくるという。 

 新たに発表した評価支援AIシリーズは、顧客や同僚、部下からのフィードバック、面談データ、スキル評価などを分析し、組織の中で成果を上げている人材の特徴を抽出する。すると、特定の状況では「曖昧さへの耐性が高い人が活躍している」「慎重な人よりも行動量の多い人が成果を出している」といった、経営者自身も気づいていなかった組織の特徴が見えてくるという。

AI360による同僚、上司、部下のフィードバックに基づく評価

AIスキルインテリジェンスで測定した能力評価

 興味深いのは、AIの精度を高めるために過去の人事データを大量に学習させる、という発想を取っていないことだ。むしろ、あえてAIに入れない情報もある。その代表例が、過去の評価履歴や給与履歴だ。

 「人間が過去に判断した評価は、ある意味ノイズだと思っています」

 例えば、本来年収700万円の価値がある人材でも、現職給与が550万円だと知った瞬間、人間は550万円の枠組みで判断してしまう。

 AIも同じだ。過去の評価を学習させれば、その偏見まで引き継いでしまう。だからPeopleXは、過去の人事台帳を絶対視しない。重視するのは、現在の能力や行動、そして周囲からの評価だ。

従業員の声から、埋もれた人材を見つけ出す

 PeopleXの評価システムは、すでに実際の企業でも活用が始まっている。次期リーダー候補の選定に同社のシステムを活用したところ、人事部門が推薦していた候補者とは別に、面談データやフィードバックを分析し、別の社員を候補として提案したという。

 その人物は、決して社内で高く評価されていたわけではなく、むしろ組織の中に埋もれ、上司からも十分に認識されていなかったいわば平均レベルの人材だった。実際に社長が本人と面談したところ、システムの提案が採用された。

 「原石はいるのです。上司も気づいていなかった人材でした」

 橘氏によれば、こうしたケースは決して珍しくない。企業規模が大きくなるほど、経営者や人事担当者が全社員を把握することは難しくなる。

 「社員全員と毎日1on1できる経営者はいません。でも、これまでは社員の声を十分に聞けないまま人事決定をしていたわけです」

 PeopleXが重視するのが、「ボイス・オブ・エンプロイー(従業員の声)」だ。同社のシステムは、面談やフィードバックを通じて集まった社員の声を可視化し、意思決定に活用できる形で整理する。

 AIが昇格や配属を決めるわけではないが、これまで埋もれていた情報を集め、人事や経営者に届ける。それこそが、PeopleXが評価領域に参入する理由なのである。

【HR製品に助けられたことは一度もなかった(次ページ)】

1 2 3

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

合わせて読みたい編集者オススメ記事

バックナンバー