家庭用Dプリンターで金属部品がつくれる ミクロ単位で自由設計できる独自微細金属造形技術「3D Architech」
プラスチックなど、素材によっては以前より手軽に行なえるようになった「3Dプリント」だが、金属の加工となるとまだまだハードルが高いのが現状。特に設備に高額の費用が必要になるため、企業でも設備を充実させるのは簡単ではない。
そんな中、独自技術により、「より微細」かつ「低コスト」な金属造形を3Dプリントを用いて実現させ、ディープテックスタートアップの「3D Architech」がグローバルで注目を集めている。
課題が多かった従来の金属3Dプリンティング
3D Architechは、同社のCEOである成田海氏が2023年に立ち上げたスタートアップだ。成田氏は東京工業大学を経てカリフォルニア工科大学に留学。在籍時には3Dプリンティング技術を用いて、リチウムイオン電池の炭素電極を作製する技術を開発するなど、多大な功績を残した。3D Architechの設計加工には、成田氏が生み出した独自の3Dプリンティング技術が用いられている。
その大きな特徴が「高性能かつ低コスト」という点だ。
そもそも従来の金属3Dプリンティングは、「高コスト」なのに「精細な造形ができない」のが課題だった。金属3Dプリンターは数千万から1億円と非常に高額で、金属素材を少しずつ溶接していく形で加工するため、この方法では微細な製品を生み出すことが難しかったのだ。
つまり、高額な機器を導入したのに、要求している水準の加工ができない――という状況だった。そんな中で、3D Architechは見事にこの課題を解決し、唯一無二の3Dプリンティング技術の提供に成功した。
家庭用の3Dプリンターでも使用可能!
「高性能かつ低コスト」な3Dプリンティング技術を実現させたポイントのひとつが「素材」だ。
従来は粉末状の素材を用い、少しずつ溶接していく形で加工するが、「3D Architech」では一般的なプラスチック加工と同様に液体の素材を使用する光造形方式で行う。
この液体素材は「プリント後に特殊な処理を施すことで金属部品に変わる」という独自のもの。従来の粉末素材とは異なり、より小さく、より細かいところまで加工することが可能だ。また、使用する液体素材は「3D Architech」独自のものではあるが、一般的な光造形方式の3Dプリンターでも使用可能。
同社のR&Dフェローである工藤朗氏によると、「インターネットショッピングサイトでも販売しているような数万円の3Dプリンターでも使用できます。そのため、1台当たりの導入コストを大きく下げることができる」とのこと。例えば、これまで1億円だった機器を10万円台のものへと変えることができれば、大幅なコストカットになり、さらに大量に導入することも可能になる。コストを抑えることができれば、製品の販売価格も下げられるなど、消費者にとってもうれしい流れが生まれることになるだろう。
「データセンター」での熱処理での活用が期待されている
現在、「3D Architech」の金属3Dプリンティング技術を生かす場として見据えているのが「データセンター」だ。
インターネットで何かを調べる、何かを見るなど、ネット環境が当たり前になった今、「データセンター」では膨大なデータ処理によるさまざまな問題が起こっている。例えば、CPU、GPUの熱処理問題。熱をより効果的・効率的に処理する技術が必要だが、既存の金属部材では限界が近いという。
そこで「3D Architech」の3Dプリンティングを用いることで、耐久性の高い、低コストかつ微細な金属部品を生み出すことに挑戦している。実際に「3D Architech」のヒートシンクは、熱抵抗と圧損を大幅に削減する優れた性能を発揮しており、大きな期待が寄せられている。
また、「データセンター」といった大きなスケールでの活用以外にも、「従来よりも小さく細かな造形のアクセサリーが低コストで生み出せる」など、私たちの近いところでの利用も考えられる。さすがに特殊な加工が必要なため家庭での利用は難しいとのことだが、「3D Architech」の3Dプリンティング技術によって「これまでできなかったこと」が可能になる。
工藤氏も「今後の展開には同じような考えを持つ人や、我々の技術を新しい形で生かせる人の存在が不可欠。興味がある人がいれば、ぜひ一緒にチャレンジしていきたい」と話しており、新しい知見や業界とのタッグにより、斬新なアイデアやシナジーが生まれる可能性もある。思わぬサービスが誕生することもあるだろう。
今後は熱処理以外に「燃料電池」などエネルギー分野でも活用を目指しているという。従来の3D金属プリンティングの「当たり前」を覆した「3D Architech」の今後に注目したい。
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