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自動車業界の信頼性評価からバイオ、新産業へ 創業30年にIPOでの成長を決意したクオルテック

信頼性評価を行なう独立系検査会社として初の東証上場を実現、不良品ゼロへの挑戦と独立独歩の精神が育んだ企業理念

特集
堺市・中百舌鳥の社会課題解決型イノベーション

提供: 堺市

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 大阪府堺市は人口減少や高齢化など、地方自治体が悩む社会的課題の解決に向け、イノベーション創出に取り組んでいる地元企業やスタートアップに対する様々な支援を行なっている。それらの企業のひとつに堺市の北寄り、大阪市との境に流れる大和川のほど近くに本社を置く株式会社クオルテックがある。

 クオルテックは1993年に創業し、2023年に東証グロース市場に上場を果たした電子部品の不良解析や信頼性試験を主力事業とする企業である。創業時から地元堺市に根を張り、従業員の通勤事情などにも配慮しながら堅実に成長を続けてきた。

 今回は同社の代表取締役である山口 友宏氏にクオルテックのビジョンや現状の事業概要などを伺うことができたので紹介する。

ISO取得をトリガーに自動車業界へ進出

 クオルテックはメーカーの製品に対する品質改善やそのための技術指導などを祖業として、企業の困りごとを解決する技術集団として創業された。当初は技術力を持った人材の採用にも苦労していたが、2006年のISO/IEC17025規格の認証取得をきっかけに大手自動車メーカーとのお取り引きがはじまり、企業としても信用力が強化されるとともに良い人材が採用できるようになってきた。

「小さな会社が生き残っていこうと思ったら特徴がなくてはダメだと思っている。だから電気系なら絶対に強いというような一芸に秀でた人を採用したり、ものすごい技術力はあってもコミュニケーションが不得手な人とか、逆にスペイン語のような外国語が得意な人とか、特徴のある人が採用できた。同時に最新設備を導入するといったこともやってきた」(山口氏)

株式会社クオルテック 代表取締役社長 山口 友宏氏

 人材面での成長と並行して、企業の体質としての向上もあった。品質や信頼性のさらなる向上が期待されることで、求められるデータの精度も上がり、必要なドキュメントも情報セキュリティ面での監査もはるかに高いレベルを要求されるようになった。

「自動車業界の意識の高さというか、お客様の目の厳しさに本当に驚いた。最初の監査では数多くの指摘をいただいて、それに対して真摯に対応することによってお客様の厳しい目が我々を成長させてくれたと感謝している。

 あと、それまでは部署のトップには技術を最もよくわかっている人が就いていたが、プラスして財務諸表など会社の財務状況や経営成績に対する理解を深める必要性が増してきた。そして次の成長として上場をめざすことになった」(山口氏)

 クオルテックの主力事業は自動車業界に多くある様々な信頼性の検査、分析業務の受託だが、ほかにも例えばエレクトロニクス業界からはモノづくりの案件が持ち込まれる。クオルテックはレーザ加工や基板実装、断面研磨など様々な信頼性評価、分析と解析技術を持ち、それらをワンストップで顧客に提供するところが特徴となっている。

 また、信頼性評価や分析などを行なっている競合企業の多くと異なり、独立系の検査会社であるというところもクオルテックの強みとなっている。独立系であるが故の信頼性、透明性、公平性の高さはISO/IEC17025の求める方向性に合致しており、かつ上場企業に求められるものとも一致している。クオルテックが2023年に信頼性検査や分析業界初の東証上場を果たしたのは、同社が積み上げてきたものからの必然であったといえよう。

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