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一周回って新しい。クラウドじゃないハード型セキュリティーツール

特集
世界に挑むICTスタートアップリーグ 成功への道

 製造業ではスマート化が進み、生産効率の向上やコスト削減が図られた半面、サイバー攻撃の標的となりやすくなるという新たな課題も浮上した。2022年には自動車メーカーのサプライヤーがサイバー攻撃を受けて生産に影響する被害も発生しており、セキュリティーの強化がますます重要となっている。令和5年度のICTスタートアップリーグに採択されているPowder Keg Technologies株式会社は、このような企業内システムの脆弱性をAIが自動診断・修復するセキュリティーテストツール「MUSHIKAGO」(ムシカゴ)を開発している。

 セキュリティーに積極的な企業は、さまざまなサイバー攻撃手法で企業内システムへの侵入を試みる「ペネトレーションテスト」を行っている。しかし、工場で運用されている産業制御システムのセキュリティーには専門知識が必要で、一般的な情報セキュリティーの専門家は対応できず常に人手不足だ。そのため頻繁にテストを実施できず、社員の出入りやIoT機器の増減によってセキュリティの穴が発生してしまう。「MUSHIKAGO」は、ネットワークにつなぐだけで、AIが自動的にペネトレーションテストを実行し、問題が見つかれば自動修復するという。

 最大の特徴は、セキュリティーはクラウドタイプが主流のなか、ハードウェア型でインターネットに接続していない環境でも使えること。企業システムは機密情報を扱う環境をインターネットと切り離しているケースも少なくないため、環境変更の手間は不要となる。現在は、大手企業のシステム管理を担うSIerが採用し、製造業への導入が進んでいるそうだ。国内のグローバル企業を通じて海外拠点へと広がれば、世界のセキュリティー市場にも食い込めそうだ。

文:スタートアップ研究部

ASCII STARTUP編集部で発足した、スタートアップに関連する成功哲学の研究チーム。起業家やスタートアップ、支援者たちの活動から、日本のスタートアップが成長・成功するためのノウハウやヒントを探求している。この連載では、総務省のICTスタートアップリーグの取り組みから成功哲学をピックアップしていく。

※ICTスタートアップリーグとは?

ICTスタートアップリーグは、総務省「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」を契機として2023年度からスタートした官民一体の取り組み。支援とともに競争の場を提供し、採択企業がライバルとして切磋琢磨し合うことで成長を促し、世界で活躍する企業が輩出されることを目指している。
https://ict.startupleague.go.jp/

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