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トレカ13kg所有!?東大生“限界オタク”が挑む推し活革命の本気度

特集
世界に挑むICTスタートアップリーグ 成功への道

 最近トレーディングカードが熱いらしい。SNSの「X」上では週で約70万件のトレカ交換が行われているという。東大の大学院でロボットの研究をしている神谷優理氏もその沼にはまり、株式会社トレポータルを起業した。これまで集めたKPOPなどのトレカが13kg超に上る神谷氏の創業背景は、日々の推し活の中での交換検索の不便さや、DMでの個人情報やりとりの不安からだ。開発したKPOPグッズ交換アプリ「トレポータル」事業は、ICTスタートアップリーグにも採択されている。

 「トレポータル」は、自分が「求めるカード」と「譲りたいカード」を一覧表示し、画像を選ぶだけで簡単に交換や検索ができるアプリだ。開発にあたって神谷氏は独学でプログラミングを学び、1年間のIT企業インターンも経て資格(AWS認定)も取得している。2022年の構想開始から3回作り直し、2024年の2月にようやく正式リリースとなった。プロモーションはKPOPファンが好むTikTokを中心に展開し、リリース8カ月でダウンロード数は1万を突破している。

 推しへの情熱は、モチベーションの維持だけでなく、スタートアップにおけるPMF(Product Market Fit:市場で支持される商品やサービスを作ること)の達成にも有利に働いている。コアなKPOPオタクで構成される同社は、ファンの思考や行動を熟知しているのが強みだ。プロモーションとしてKPOPファンがよく利用するTikTokに動画を投稿し、公式Xではトレカ交換で使われるタグを用いるほか、アーティスト情報を頻繁に発信し、拡散効果を高めている。広告のメッセージがただの表面的な関心か、それとも本心なのか、ファンは敏感に見抜く。本気度の高さがファンの共感を集めて短期間でのユーザー獲得につながっているのだろう。

文:スタートアップ研究部

ASCII STARTUP編集部で発足した、スタートアップに関連する研究チーム。起業家やスタートアップ、支援者たちの活動から、気になる取り組み、また成長・成功するためのノウハウやヒントを探求している。この連載では、総務省のICTスタートアップリーグの取り組みからそれらをピックアップしていく。

※ICTスタートアップリーグとは?

ICTスタートアップリーグは、総務省「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」を契機として2023年度からスタートした官民一体の取り組み。支援とともに競争の場を提供し、採択企業がライバルとして切磋琢磨し合うことで成長を促し、世界で活躍する企業が輩出されることを目指している。
https://ict.startupleague.go.jp/

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