Viva Technology 2024は「藻」がトレンド?
Viva Technology 2024 レポート
今のイノベーションのキーワードは「AI」、「社会課題」、そして「藻」?
2024年5月22日~25日にフランスのパリで開催された世界最大のオープンイノベーション、テクノロジーのカンファレンス「Viva Technology 2024」。今年は去年から来場者数が10%増加し、過去最大の16万5000人以上の来場者となった。そのViva Techで目立っていたのが、「AI」や「社会課題」に関するサービスや取り組みだが、意外なことに「藻」に関するスタートアップを数多く目にすることになったので、藻や生物に関連したスタートアップを紹介したい。
地下鉄の構内や、ビルの空気をキレイに「BIOTEOS」
BIOTEOSは「OXYLON」と名付けられたチューブに入った藻を使った装置を開発している。藻の力により、駅構内やビル内の空気を浄化する。この装置ひとつで街路樹30本分の効果があるという。
路上の汚染物質を吸収「BIomiTech」
今年のCESのEureka Parkでも出展していたBiomiTech。こちらはBIOTEOSと同様に、屋外に街路樹代わりに設置して、藻の力で汚染物質を吸収し、街の空気をきれいにしようというものだ。
藻を効率良く生産「Neo Earth」
微細藻類を高効率で生産するソリューションを提供するNeo Earth。培養タンクが展示されていたものの、残念ながらどうやって生産性を高めているかについては詳細を確認できず。技術の詳細についてはあまり開示していないところも海外のスタートアップでは多い。
海藻を陸上養殖する「MAGMA]
ワカメなどの海藻を育てる海は、気候の影響などがあり不安定であったり、汚染の影響などを考慮する必要があるが、その海藻を陸上で安定して養殖できるように取り組んでいるのがMAGMA社。陸上養殖のワカメで作られた海苔でできたおにぎりをパリで食べる日がいつか来るかもしれない。
クロレラ由来の天然着色成分「algal bio」
アルガルバイオ(algal bio)は、クロレラ類を中心とする藻類株を取り扱っており、植物由来の天然の着色成分をコスメ製品や、食品向けに提供したり開発していることで注目を集める研究開発型のスタートアップ。LVMHやロレアルなどコスメに絡んだ大企業が出展しているViva Techで注目を集めそうな事業を紹介していた。
藻を代表する世界的企業「ユーグレナ」
微細藻類ユーグレナなどを活用し商品や化粧品、バイオ燃料などを開発しているこの分野での先駆者かつ日本初の世界的な上場企業であるユーグレナ社もジャパンパビリオンに出展していた。
ここまで藻を中心としたスタートアップ、企業を紹介してきたが、続けてフランスからバイオテックに関連した2社を紹介したい。
二枚貝に電極をつけてバイオセンサーに「molluScan」
molluScanはムール貝や、牡蠣などの16個の二枚貝に電極を取り付け、その行動の変化を観測することで、水質の状態をモニタリングするというユニークな製品。水質そのものを計測するのではなく、その環境の中にある生物そのものをセンサーとして活用するというアプローチが面白い。
植物用のストレスチェック「Vegetal Signals」
こちらもmolluScanと同じように、「Vegetal Signals」は植物に電極をつけてその状態を把握するという製品。ワイン用のブドウの葉などに取り付けて、ストレス度や成熟度などを測定し良いワイン生産につなげる。
フランスでは地域ごとに、育成に力を入れるスタートアップの領域が異なっており、Neo Earth、MolluScanはボルドーを拠点としており、そしてMAGMAはノルマンディー地方のスタートアップとなっている。どちらも大西洋に面した海の影響を大きく受ける地域。そんな地域ごとの特色が見えてくるのもViva Technologyの魅力だ。