世界を舞台に挑む日本のスタートアップに海外進出のポイントを聞く
XTC JAPAN 2024 パネルディスカッション「スタートアップ、海を越える」レポート
提供: XTC JAPAN
2024年3月1日、グローバル課題に技術で取り組む起業家のための世界最大規模のスタートアップ・コンテスト「Extreme Tech Challenge(以下「XTC」)」の日本大会「XTC JAPAN 2024」が開催。ASCII STARTUPが主催するスタートアップを中心としたビジネスコンファレンスイベント「JAPAN INNNOVATION DAY 2024」と同時開催で行われた。
「XTC JAPAN 2024」ではピッチコンテストのほか、2つのパネルディスカッションが行われた。今回はパネルディスカッション「スタートアップ、海を越える」をレポートする。
本セッションでは、パネリストとしてトレジャーデータ株式会社代表取締役の堀内健后氏、bitBiome株式会社代表取締役社長CEOの鈴木悠司氏、アクプランタ株式会社代表取締役社長の金鍾明氏、モデレーターとして西村あさひ法律事務所外国法共同事業パートナー水島淳氏が登壇。世界に進出し活躍するスタートアップの代表たちが、なぜ海外に渡ったのか、投資家との付き合い方、海外展開でのポイント、成功に必要な要件などについて語った。
グローバル市場に挑戦する日本発スタートアップの戦略とは
水島氏:このセッションは「海を越える」というテーマなので、パネリストたちには、なぜ海を越えたいと思ったのか、越えるにあたってどういったポイントや注意点があるのか、といったことを伺い、みなさんと共有したいと思っています。
早速ですが、パネリストのみなさんはどのような事業を行っていて、どういった海外のマーケットをカバーされているのか、どうしてそのマーケットに着目されたのか、といったところを教えてください。
金氏:弊社は植物の活性化剤を新しいエピジェネティクスという技術を使って開発しています。地球温暖化の対処策がない中で、乾燥と高温にいかに対応するかということを目的にしています。日本の市場は世界に出ていくための実証実験地と考えています。
日本国内は高温や干ばつという“ペイン”の部分がそれほど大きくありません。これに対して米国では森林火災が起きたり、中西部で干ばつによりコーンがやられたりしているのでペインが大きく、市場規模としても圧倒的に大きいです。
新しい技術なので学識的な土壌がないと受け入れてもらいにくいのですが、米国は法も整備されていて、知識もあって、受け入れるだけの能力もあります。
鈴木氏:私たちは、微生物の遺伝子のデジタル情報を基にして、そこから酵素やタンパク質をつくっていく“バイオものづくり”をしています。食品や栄養、化学素材、二酸化炭素の削減といった様々な応用領域がある分野で、市場規模はホワイトハウスによれば世界全体で3000兆円ぐらいです。そのうち半分から6割ぐらいが米国なので、我々も創業当初から米国市場にどう進出するかを考えてきました。
もうひとつは、特に生体触媒分野に関しては欧州、特にドイツやスイスが強い伝統を持っていて、米国に続いて進出するとしたら欧州かなと考えています。
堀内氏:弊社の場合は、我々の創業者がシリコンバレーに駐在していてスタートアップへ投資をしており、これだったら自分たちでも米国で創業できる、と思ってくれたことがラッキーでした。今は欧州でも展開していますし、アジアでもマレーシア、シンガポール、インドネシア、タイまで進出できるところまできています。
IT投資もGDPも米国が1番なので、結果、米国市場を取りに行くと世界にも展開できます。日本では国内でどれだけ広まっても自然に世界に広まっていくことはなかなか無い。日本と米国の市場ではそういった部分が違うと思います。