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遠隔から現場の様子を360度確認できる屋外向けクラウドカメラ「Safie GO 360」

 セーフィー株式会社は、2024年1月30日にセーフィー新製品発表会を品川区のセーフィー株式会社本社とオンラインにて開催した。イベントでは、新製品「Safie GO 360」の機能紹介のほか、株式会社アイダ設計、清水建設株式会社が参加するパネルディスカッションを実施。建設業界の課題に対するSafie GO 360の活用やデジタルツインに向けた取り組みを紹介した。

デジタルツイン実装へ向けた360度クラウドカメラ「Safie GO 360」

 セーフィーは、産業向けクラウド録画型映像プラットフォームを提供する2014年創業のスタートアップ。セーフィーのカメラで撮影した映像は暗号化してクラウドに蓄積され、PCやスマートフォンから閲覧可能。また、クラウド上に蓄積された映像をサードパーティーのサービスや基幹システムとAPI連携して業界課題の解決にも活用できるのが特徴だ。

 これまで防犯・店舗管理用AIカメラ「Safie One」、遠隔臨場向けウェアラブルカメラ「Safie Pocket」シリーズ、LTE搭載クラウドカメラ「Safie GO」シリーズなど、さまざまな業種向け製品をラインアップしている。特に建設業界では2024年問題の解決策としてのひとつとして需要が高く、累計数万台を出荷しているそうだ。

 セーフィーでは、建設業界のビジョンとして、映像データを起点にした現場のデジタルツインの実現を掲げている。現場に設置されたセーフィーのカメラ映像をもとに3Dモデルをつくることで、AIを用いて現場の危険予知や工事進捗の算出が可能になる。

 今回発表された「Safie GO 360」は、現場のデジタルツイン実装の入り口となる製品だ。

セーフィー株式会社 営業本部 第2ビジネスユニット部長 渡部 郁巴氏

Safie GO 360の特徴

 Safie GOシリーズは、①LTEルーターを内蔵し電源にさすだけですぐに使える、②屋外でも利用できるIP66の防水防塵性能、③持ち運びしやすいコンパクトボディが特徴で、建設現場や工場などの防犯対策や現場の進捗管理に利用されている。

 Safie GO 360は、360度を撮影できる魚眼レンズを搭載し、広範囲の現場全体を撮影できるのが特徴。1台のカメラで現場作業の進捗管理から周辺の交通状況の把握、細部の施工状況を遠隔で確認できる。また、水平/垂直方向ともに視野角182度のレンズが上下左右に動き、高画質で記録として残せる。

 また、1台のカメラ映像を複数の画面に表示できるダッシュボード機能を備え、複数の社員がそれぞれ見たい場所を拡大表示して確認が可能。効率的に情報共有でき、現場訪問の回数や確認時間の削減を図る。

清水建設での実証実験で設置したカメラによるダッシュボードの映像

Safie GO 360の新機能を紹介するセーフィー株式会社 企画本部IoTソリューション部 中田 恵吾氏

360度カメラとデジタルツインで建築業界はどう変わる?

 発表会の後半は、「大手建設会社とハウスメーカーと考えるカメラとデジタルツインが創る現場の今と未来」をテーマにパネルディスカッションを実施。パネリストとして、株式会社アイダ設計 建設本部 部長 堀江 久幸氏、清水建設株式会社 建築総本部 生産技術本部 生産技術開発センター デジタルマネジメントグループ 主査 大垣 博氏、同社 土木東京支店 千葉土木営業所 外環京葉Gランプ作業所 工務主任 石﨑 裕大氏が参加し、現場で直面している課題やSafie GO 360の活用について語り合った。

 Safie GO 360を使った感想として、アイダ設計の堀江氏は、「従来使ってきたカメラでは画角が限られており、何棟も建っている現場ではそれぞれの棟にカメラを付けなければならなかった。また、建物全体を写したい場合には遠くから撮影しなければならず、そうすると画質が落ちてしまい、どの工程が終わっているのかなど具体的なことまでわからなかった。結果、何台もカメラを置かなければならなかった。Safie GO 360を現場に1台、人の目線の高さに設置するだけで、基礎部分から建物全体を確認できることに衝撃を受けた」とコメント。

 360度カメラを活用した今後の展開として、堀江氏からは、たとえば注文住宅が建つまでのタイムラプス映像を施工主にプレゼントするサービスや、現場の安全管理の観点で映像から危険な箇所を抽出するAI解析機能などのアイデアを語った。

株式会社アイダ設計 建設本部 部長 堀江 久幸氏

 清水建設の大垣氏は「これまでのSafie GOでは、建物が建ちあがっていくと中が見えなくなっていた。今回のSafie GO 360であれば、建物内に設置して床から天井まで見渡せる。配線や空調設備などの施工状況まで映像を拡大してスクロールしてすみずみまで把握できる。加えて、若手、中堅、ベテラン社員がそれぞれの視点で確認できるのが最大のメリット」と述べた。

清水建設株式会社 建築総本部 生産技術本部 生産技術開発センター
デジタルマネジメントグループ 主査 大垣 博氏

清水建設株式会社 土木東京支店 千葉土木営業所
外環京葉Gランプ作業所 工務主任 石﨑 裕大氏

 清水建設は、現場カメラの映像をデジタルツインとして活用し、リアルタイムでシミュレーションできる環境構築に取り組んでいるという。360度カメラのさらなる活用については石﨑氏が、現在試行中という360度画像共有システム「OpenSpace」とSafieのクラウドカメラの連携を紹介。連携案として、OpenSpaceのストリートビュー上にSafieのカメラ位置を図示して画像・映像をリアルタイムに確認できる仕組みや、複数のカメラを連携させて空間的な画像を合成することで現場全体をタイムリーに把握する取り組みを紹介した。石﨑氏は「撮影の手間をかけずに、現場のタイムリーな空間的情報を確認できるような、省力化・高度化を目指して取り組んでいる」と語った。

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