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次世代がん治療に必要な薬剤を開発する医薬品ベンチャー、ステラファーマ

~堺市を拠点に独自ポジションを築き、国内外から注目を集めるイノベーティブな企業たち~

特集
堺市・中百舌鳥の社会課題解決型イノベーション

提供: NAKAMOZUイノベーションコア創出コンソーシアム、堺市

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加速器と臨床試験を増やすことが課題

 注目を集めるBNCTを広めるために課題となっているのが、治療ができる施設の拡大だ。治療に使用する中性子を照射する加速器は装置がかなり大きく導入のコストもかかり、新しい治療法なので薬剤や治療費が高額になるため、患者の負担を減らして治療を広めるには保険適応が必要になる。そうした条件からBNCTの保健診療ができる医療施設は国内にまだ二つしかない。

「頭頸部がん以外にもBNCTで治療できる範囲を広げたいのですが、承認を受けるにはそれぞれの症状で加速器と薬剤を組み合わせたうえで臨床試験を行い、一定の成績を出さなければいけません。当社の薬剤は住友重機械工業が開発する加速器との組み合わせで承認を得ましたが、それ以外で加速器の開発に取り組むところはありますがまだ少ない状況です。ステボロニンは基本的にどの加速器とも組み合わせても使えるので、われわれの薬剤を使って製造に少しでも協力したいですし、一部でできつつある装置の小型化など、施設が導入しやすい装置を開発する流れを後押しできればいいとも考えています」

 3年前に承認を得たBNCTによる頭頸部がんの治療は臨床試験でかなりいい成績が出ていたが、市販後も好成績が維持できており、それによってBNCTが注目されるという流れも出てきているという。ステラファーマでは現在、血管肉種という皮膚にできるがんの治療法が臨床試験段階に入っており、適応できる範囲をさらに拡大していくことに力を入れている。

「ひとりのかけがえのないいのちのために。」

 ステラファーマはBNCT研究センターで基礎的な研究を行う人たちと臨床試験などをコントロールしている人たちをあわせて50名弱の社員が所属し、その半分が何らかの形で研究開発に携わっている。そうすることで世界に負けない新しい研究開発を続けており、同時に会社を成長させるために海外でタイアップできるパートナーを探すといった方向も目指している。

「今後の私の仕事としては、研究内容は把握しながらもあまり現場には口を出さず、BNCTをもっといろんながんの治療で使えるようにしたいと考えています。自分たちが研究した医薬品が承認されて世の中に出るというのは、医薬品メーカーで研究員をしていてもかなりレアなケースですし、モチベーションも上がります。

 われわれはBNCTが一般的な治療法になる可能性は十分にあると思っていますが、一方で、現在のすべての治療法に代わるというよりは、他の治療法が難しい患者さんにとっての選択肢を増やすオプションにしたいと考えており、同じ思いを持つ先生たちと取り組んでいます。成果が出ているという点で今後さらに注目されるようになるのはまちがいなく、より良い薬を作ろうという動きも世界から出てくるはずなので、大学と協力を続けながらBNCT研究センターの機能も上手く活用して、もっと成長していきたいと考えています」

「ひとりのかけがえのないいのちのために。」という企業メッセージにもあるとおり、1人でも多くの命を救うため、BNCTの治療を世界へ広げようとしているステラファーマの活動にこれからも期待したい。

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