ZEROCO、食材の独自鮮度保持技術で日本のおいしさを世界へ「日本は食業界のGAFAになれる」
低温高湿で食材の鮮度を保持し、独自技術で日本の食業界への貢献を図る
2030年に食品輸出額5兆円を目指す
日本の食品輸出額が1兆円を超えたが、楠本氏は「まだ大きくできる」と語る。日本国内の食料産業の生産額は117兆円ほどなのだから、まだまだ大きくできるというわけだ。例えば、マレーシアは人口が日本の3分の1以下ながら、食品輸出額は2兆円を超えているそう。
「マレーシアはイスラム法上で食べることが許されているハラールに対応するという明確なストラテジーを持っています。サプライチェーン全体が基準をクリアする必要があるので、日本では同じことをするのは難しい。そこで日本はこれから先、人口が大きく増えるアフリカやインド、パキスタンなどを商圏にすればよいと思います。まずは頑張って現在の1兆円を1.5兆円まで増やし、3倍の商圏でビジネスをすれば5兆円を狙えます」(楠本氏)
輸出額5兆円といっても農水省の目標達成を目指しているのではなく、日本の食業界に貢献したいと考えているからだという。楠本氏は海外で外食産業を展開した経験から、ローカライズがとても大変なことを経験してきた。「もし、日本で作ったものを海外で売ることができれば大きく儲かる」と楠本氏。例えば、5月に獲れたイチゴをフレッシュなままリーファーコンテナで真夏のドバイに送れば、2倍の金額で売ることができるだろうという。
農業だけでなく、外食産業も効率的な経営ができるようになるので儲かるようになる。ある程度仕込んだ食材を「ZEROCO」で保存し流通させ、レストランの現場では最後の工程だけを行えば、オペレーションがとても楽になる。小売業も商品の鮮度が維持できれば、その分、利益を得ることができるだろう。
食×不動産、食×観光、食×ホームエレクトロニクス、食×モビリティなど、食を中心としてさまざまな展開が考えられる。これは「日本にしかできない強みだ」と楠本氏。日本を活性化させるためには、地方創世は待ったなしだ。「ZEROCO」であればすでにプロダクトがあるので、すぐに実用に入ることができる。
「日本ではGAFAは生まれませんでしたが、日本の食が世界に対してイニシアチブを取ることができる “おいしい”GAFAは作れると思います。世界中に食料調達やレシピの共有、おいしい食材の最適なパラメーター化などを展開すればいいのです。食業界全体をよくするためには、我々だけでなく、それぞれの業界と一緒に取り組んでいこうと考えています」と楠本氏は語った。