生成AIの本格活用や規制緩和の未来へ向かう中間地点 「B Dash Camp 2023秋」開幕
「B Dash Camp 2023 Fall in Fukuoka」速報
2023年11月8日から11日、福岡県福岡市でスタートアップ業界最大級のカンファレンスイベント「B Dash Camp 2023 Fall in Fukuoka」が開催。3日間にわたり、インターネット業界を中心とするイノベーションの最前線で活躍する経営者や著名人がトークセッションを展開。業界の登竜門ともいえる、スタートアップ企業によるピッチステージ「Pitch Arena」は、9日に15組の予選が実施され、プレゼンを勝ち抜いた7組が10日の決勝に進む。
20回目となる今回のテーマは「HALFWAY POINT(中間地点)」。2022年の終盤にかけて盛り上がり始めた生成AI。約1年が経過して、大きな話題になったものの、ビジネスや生活の中で活用されているとはいえず、また生成AIを軸とした国内スタートアップのサービスが活用されるようになるまでには、もう少々時間がかかりそうだとする。スタートアップ育成5か年計画を柱とする支援も同様に道半ばである。その意味でもいまのタイミングで「中間地点」とする言葉がテーマに選ばれた。
オープニングセッション「ネット企業の成長はどこに向かうのか(2023秋編)」では、生成AIの行く末や「モバイルキャリア×金融」の動向、「シェアリングエコノミー」をテーマとした規制緩和などに関する方向性が議論された。
生成AIを日本独自の課題解決に活用するべき
LINEヤフーで生成AI統括本部長を務める宮澤氏。2023年の生成AIブームと来年以降の動きについて、次のように述べた。
宮澤氏「生成AIには90年代のインターネット出現時と同じくらいの衝撃を感じている。この先20年くらいは生成AIを軸にビジネスが拡大していくだろう。
一方、生成AIに関する課題も見えてきている。これもインターネット初期と似ており、端的に言えば、『高い、遅い、わかりにくい』ことだ。ただ、こうした技術的な問題は、インターネットのときと同様に解決していくだろう。
日本のスタートアップが焦点を当てるべきは、米国の大規模なLLM開発競争と一線を画し、たとえば日本独自の課題解決にLLMを有効活用するような方向を模索していくことだ」
「金融×モバイルキャリア」で新たな経済圏が誕生
2023年10月、NTTドコモとの資本業務提携を発表したマネックスグループ。代表執行役社長CEOの晴明氏は「金融×モバイルキャリア」の市場拡大について、以下のように語った。
清明氏「創業25周年を迎えたマネックスグループのテーマは『成長』だ。インターネットと同時に普及したオンライン証券市場が成熟しつつあるなか、さらなる成長を求めてNTTドコモと資本業務提携を実施した。
NTTドコモが提供するモバイルキャリアに、マネックスグループの金融機能を上乗せすることで、手数料ベースの収益モデルから脱却し、新NISAをはじめとする新しい経済圏に進出していきたい。その中で、クリプトやAIなどのスタートアップとの連携も強化する」
LINEヤフー 代表取締役の川邊氏もドコモとマネックスが「モバイルキャリア×金融」領域の戦いの火蓋を切ったとコメントした。
Web3、クリプト業界「冬の時代」の終焉
Web3、クリプト業界は「冬の時代」に入っていると言われる。しかし、フィナンシェ代表取締役CEOの國光氏は「冬は明けた」として次のように述べた。
國光氏「2023年、ビットコインの価格は2.5倍に上昇している。2024年には、米国におけるビットコインETFの承認や、世界中で大統領戦が行われ世界情勢が混乱することなどを着火剤に、さらなる伸びが予測される。
また何度も『冬の時代』を乗り越えたWeb3領域のプレイヤーたちの技術やノウハウも確実に向上しているため、今までに見たことのないビッグウェーブが押し寄せる可能性は大いにある」
規制緩和、キーワードは「シェアリングエコノミー」
渡辺氏から「ぜひ川邊さんには規制緩和を推進していただきたい」と話を振られた川邊氏は次のように述べた。
川邊氏「規制緩和における最大のキーワードは「シェアリングエコノミー」だ。圧倒的な人口減少と労働者不足の時代に経済を発展させるには設備や資金、ノウハウなどを個人や企業が共有することが不可欠だ。
一方、民泊やシェアライドなどの取り組みに対して、既得権益を保護するような風潮も強い。それを大企業とスタートアップの共創により、変革していくことが重要になる」