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ノーコードで製品マスターを構築。製造業の開発プラットフォーム「PRISM」

連載
このスタートアップに聞きたい

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 株式会社Thingsは、SaaS型製品開発プラットフォーム「PRISM」を開発・運営する2021年創業のスタートアップだ。「PRISM」は、製品開発データの一元管理と、ノーコードによるカスタマイズで部署間のスムーズな情報共有を実現し、DXの促進を図る。株式会社Things代表取締役CEOの鈴木敦也氏に、開発の背景と今後の展開についてうかがった。

製造業の断片化された製品開発データを一元管理する「PRISM」

 鈴木氏は大学卒業後、三菱商事株式会社に入社し、海外のインフラ案件に従事。鉄道の施設や化学プラント工事に携わる。その後、オーディオ機器メーカーのAlphaTheta株式会社で社内DX推進リードを経て、VRヘッドセットを開発する株式会社FOVEのCOOとして、スタートアップの事業開発にも関わってきた。

 大企業から中堅、スタートアップまで規模の異なる製造業に携わるなか、セールスやマーケティング部門はSaaSが浸透しているのに対し、技術部門ではSaaSがあまり活用されておらず、いびつな構造になっていると感じたという。中堅・中小企業では、既存システムの保守やセキュリティ対策に追われ、新しい技術を活用して効率化するDXにまでは手が回らないのが現状だ。

 通常、製造業の多くは、設計部門、調達部門、生産部門がそれぞれの部門システムでデータを管理している。設計仕様の変更、生産中止などによる代替部品への変更があると部品表(BOM:Bill Of Materials)を更新して、他部門へはExcelで共有し、各部門システムに反映される。部門システムへのデータ更新は手入力で行うため、タイムラグがあり、ミスも起こりやすい。部品の発注に間違いがあると、品質の劣化や調達コストの増大につながる。

 Siemensの調査によると、設計者は作業時間の25%をデータ管理に費やしているという。とくに昨今は原料費の価格の変動や調達ルートの変更が頻繁に起こり、手入力によるデータ更新は現場の大きな負担だ。

 Thingsが提供する「PRISM」は、そのような課題に応えるノーコードで製品マスターを構築するクラウド型の製品開発プラットフォームだ。CAD図面などの設計データ、企画書や仕様書などOffice文書、クレーム対応などをクラウドで一元管理し、各データをBOMにひもづけて共有する機能を備える。

 ダッシュボードではBOMをベースに各部品の情報をツリー表示して、各部品のメーカーや価格といった属性情報をプロパティで管理する。属性情報を更新すると変更履歴として残り、過去の設計や取引を参照できる。

「PRISM」のダッシュボード

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