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ノーコードで製品マスターを構築。製造業の開発プラットフォーム「PRISM」

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このスタートアップに聞きたい

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ノーコードのカスタマイズでシステム管理費コストを削減

「PRISM」の特長は、ノーコードでの柔軟なカスタマイズ性だ。「プロパティ」の項目はノーコードで簡単に追加でき、値のデータ型や単位を設定して入力エラーを防ぐなど、現場で運用しながら改善していける。

 従来のシステムは、カスタマイズを開発会社に依頼していたため、わずかな機能やUI変更のたびに費用がかかる。さらにアップデートを重ねるたびにソースコードが肥大化し、開発担当者の退職などで保守コストがかさみ、使いづらくてもシステムを刷新する予算が出ない、というのが製造業のDXが進まない一因だ。

 ノーコードであれば、業務フローの変化に合わせて自分たちで自由にカスタマイズできる。クラウドサービスなので契約後すぐに使えて、定期的なアップデートで常に最新機能が利用できる。また、導入時はカスタマーサクセスの担当者が伴走し、既存データの入力や要件定義などのサポートも用意されているという。

プロパティの項目を自由にカスタマイズできる

カテゴリーやプロパティ項目の編集、アクセス権限の設定画面

クラウドのデータ共有で「あうんの呼吸」を取り戻す

 同社が目指すのは、部門ごとにばらばらになっていたBOMを単一のデータベースに統合すること。「PRISM」は製品開発管理に注力しているが、今後は受発注管理や調達管理機能へも拡大していく計画だ。

「かつて製造業が日本の経済をけん引していた時代は、『あうんの呼吸』で統制が取れていました。しかし、分業化やIT革命による情報量の増加で、そのような統制は消えつつあります。『PRISM』で単一のデータをみんなで共有することで、現代版の『あうんの呼吸』が作り出せると考えています」と鈴木氏。

株式会社Things 代表取締役CEO 鈴木 敦也氏

「PRISM」の利用にあたって推奨されるのは、ゆるやかな情報共有だ。カスタマイズ画面は、他部署には関係のない項目を非表示にできるが、あえて表示して情報を共有もできる。例えば、設計部門からまだ確定前の図面を事前に共有することで、調達部門が先行手配をするなど準備を進められる。また生産部門から設計へ過去のトラブルをフィードバックするなど、製造期間の短縮や品質向上も期待できる。

「私はモノが好きだから、もっとモノが生まれやすい世界にしたい」と鈴木氏は話す。業務の効率化だけでなく、将来的にはサービスで蓄積されたデータをAIで利活用していくことも想定している。

 Thingsは2023年5月31日に「PRISM」の正式版をリリース。当初のターゲットは中堅から中小の製造業。他社システムとも連携できるようにAPIの開発にも力を入れていくとのこと。

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