バルミューダ撤退は「誤算」だった?
もうひとつ京セラにとって誤算だったのが、家電メーカーでありながら、2021年11月にスマートフォンを販売したバルミューダではないか。
2021年11月に発売されたBALMUDA Phoneは、デザインやコンセプトはバルミューダが手がけた一方で、端末の製造は京セラが手がけていた。
初代BALMUDA Phoneはネットで酷評であったが、一方でバルミューダ社内では後継機種の開発が進んでいたとされる。
しかし今月、こちらも円安による部材費の高騰などを理由に携帯電話事業からの撤退が発表された。関係者は「後継機種をつくらず撤退と言うことは、京セラへの発注も消滅したと言うこと。京セラとしては少なからず収益を当てにしていたところもあり、撤退の理由のひとつになっていてもおかしくない」という。
人気の「TORQUE」もうまみ少なく
ここ最近の京セラスマートフォンといえば「TORQUE」が根強い人気を誇っている。耐水だけでなく、耐衝撃性も持ち合わせており、アウトドアを楽しむ人には「TORQUE以外は考えられない」と言うほどだ。
京セラの技術力が投入され、他社も真似しないほどの耐久性を誇るが、逆に「壊れないから新機種が売れない」というジレンマを生む。
実際のところは「かなりアクティブに使われるのでヘタってしまい、新機種が出れば機種変更してもらえる」(京セラ関係者)というが、TORQUEはバッテリーが交換できるため「充電してもすぐに減ってしまい使い勝手が悪い」という理由で機種変更されることはなさそうだ。バッテリー交換が可能なため、新品のバッテリーさえ確保していれば、同じ端末を使い続けられるからだ。
バッテリーが交換できるというユーザーにとってのメリットは、端末を販売する企業にとってはあまり美味しくはない機能と言えそうだ。
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