京セラが個人向け携帯電話端末事業から撤退すると明らかにした。5月16日に発表された中期経営計画で谷本秀夫社長が改めて言及した。
スケジュールとしては2023年度で新規開発を完了し、2025年度でコンシューマー向けの携帯電話端末の開発や生産を終了させる。その上で5Gミリ波のさらなる普及に向けたインフラ関連事業に開発リソースを集中させる。ただし、法人向け端末やインフラ関連事業は継続・拡大させていく。
京セラ撤退の理由:自社ブランドを作れなかった
京セラの携帯端末事業は1989年にスタート。京セラ創業者である稲盛和夫氏がKDDIの設立にも関わったことから、KDDI向けやPHSのDDIポケット向けに端末を供給。その後、ソフトバンクやNTTドコモにも供給していた。最近では2021年に発売された「TORQUE 5G」が記憶に新しい。
ただ、京セラは「TORQUE」や「DIGNO」はあるものの、どちらかといえばキャリアが持つブランドのスマートフォンを手がけたり、子どもやシニア向けなどの企画端末が中心で、自社で強いブランドを持っていなかったのが弱点でもあった。
ソニー「Xperia」、シャープ「AQUOS」などは、いずれも自社を代表するブランドをキッチリと設けている。
ソニーとシャープは毎年ハイスペックな製品を投入し、ブランドイメージを高めつつ、実際はエントリーやミドルクラスの製品を多く売ることで、なんとか端末事業を維持させているという状況だ。
最近のハイスペックなハイエンドモデルは20万円を超えることが多く、正直言ってあまり売れていない。しかし、いずれのメーカーも歯を食いしばってハイエンドモデルを出し続けるのは、ハイエンド向けで培った技術力を、翌年以降、ミドルクラスに搭載していくことで、全体の商品力を上げていく流れを作りたいからだ。
その点、京セラはXperiaやAQUOSに対抗できるブランドを作れず、結局、ミドルクラスや子ども向けシニア向けといったキャリアからの発注された規格端末をメインに手がけていたことで、行き詰まった感がある。
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