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中学生が「社会に役立つロボット」を開発、販売する起業家体験

東京都「小中学生 起業家教育プログラム」レポート

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ロボットへの理解を深めたロボットジャーナリスト神崎氏の講演

 イベントの途中で、今回のテーマであるロボットにあわせて、最新のロボット事情に詳しいロボットテクノロジーライターの神崎洋治氏が講演を行った。神崎氏は、最新のロボット事情などをわかりやすく紹介し、中学生から寄せられた様々な質問に回答した。

ロボット情報メディア「ロボスタ」でライターを務める神崎洋治氏

 神崎氏は最初に「世界中からロボットのニュースがたくさん集まっている『ロボスタ』という編集部で、様々なロボットメーカーに取材を行い、ロボットが社会に役立っている記事などを配信しています」と自己紹介し、自身が審査員を務めた経験もあるているロボカップの話から講演をスタートした。

 ロボカップは自律型移動ロボットによる、日本発祥の国際的な競技会だ。神崎氏は、「ロボカップには『2050年までに、サッカーの世界チャンピオンチームに勝てる、自律移動のヒューマノイドロボットのチームをつくる』というすごい目標があるんです」と話し、実際のロボカップの試合を動画で紹介した。

 

「ただし、実際はまだ勢いのあるキックを蹴ることもできないし、ゴールに走って近づくということも、まだまだ難しい。これが人型ロボットの難しさ」としたうえで、次に、世界最高峰といわれるアメリカのボストン・ダイナミックスが開発した人型ロボット「アトラス」の動画を披露した。人間のように走り、バク宙を華麗に決めるアトラスを見せつつ、「ロボットは、人工知能の技術とセンサーの技術によって飛躍的に進歩し、このように自由自在に動けるロボットになりつつある」と、神崎氏は伝えた。

ボストン・ダイナミックスの人型ロボット「アトラス」

 しかし、高性能ロボットには大きな課題があるという。それは、「これだけの身体能力がある高価なロボットを、どのようにして社会に活用するかという案がない」という点だ。神崎氏は、「みなさんの豊富なアイデアや想像力で、ロボットをどのようにして使っていったらいいか考えてほしい」と、参加者の中学生に向けて語った。

 また、ロボットに感情は必要かという論争があることにも触れ、最後に現実に使われている産業用ロボットやサービスロボットの事例を紹介し、ロボット業界の取り巻く現状を伝えた。

現在、実際に活用されているロボット事例

 講演の後の質問コーナーでは、「なぜロボットをつくる必要があるのか」「ロボットに感情がある場合のメリットとデメリットは何か」といった鋭い質問も飛び出した。「人型ロボットにこだわる理由は何か」という問いに対し、神崎氏は、「人間用につくられた建物の中で移動や作業するのに優れており、色々なことができる汎用性という特徴に対してはとても有効であること、人の形をしていることで友だちのように感じられること」などをあげた。

実体験で会社の流れを知ることができる

 参加者のひとり、中学2年生の男子に感想を聞いたところ、「まる一日で大変だと思ったけれど、参加してみたら楽しかった。オンラインで全員初対面だから、最初はなかなかみんなが発言せず、ちょっと困ったこともあったけれど、最後は色々な意見が出てきた」と話していた。さらに、「オンラインだったけれど、わかりやすい紙の資料があって、会社がどんなふうに成り立っているかを一通り体験できたから、会社や商品づくりの流れを知ることができて良かった!」と、イベントに参加した意義を語っていた。

最後は全員で記念撮影

 近年は、小学校や中学校でも起業家教育への取り組みも増え始めているが、まだ多くの学校では体験することができない。しかし、今回のイベントのように、機会があれば子どもたちは真剣に考え、自分たちの力で答えのない課題にも取り組むことができる。ぜひ、こうした起業家精神を育む機会が増えていくことを期待する。

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