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ロードスターの日々は毎日素晴らしい~990Sロングランレポ第12回

ロードスター元主査・山本さんを囲むプライベート感たっぷりのミーティングに参加

文●鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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山本氏から直接マツダと
ロードスターの歴史の話を聞く

 カフェにクルマをぎゅうぎゅうに駐車できたら、ようやくミーティング開始。まずは参加者全員の自己紹介から。全員という点は参加29台という、こぢんまりとした規模だからこそできること。自己紹介を聞いていますから、知らない人にも声がかけやすくなります。ここで、イベント前日に新車が届いたというオーナーの納車式も行なわれました。山本氏とともに、シートや内装のビニールを剥がしてゆきます。

イベントの前日にクルマが届いたというNDオーナーの納車式。山本氏がビニール外しを手伝う

山本氏によるマツダとロードスターの歴史を解説する講演を実施

左端が主催者である今野繁幸さん、中の2人がリバイバルカフェのスタッフとオーナー、そして右端が山本氏

 その後は、カフェ2階部屋を使って約30分の山本氏によるマツダとロードスターの歴史講演。ロードスターを作っていた本人から聞く歴史は、やはり特別感があります。その後は、ランチを楽しみながら、1時間ほど、参加車同士でロードスター談義に。個人的にも、一人のオーナーとしてミーティングに参加するのは久しぶりでした。また、主催者が招待した面々は、なかなか濃い人が多く、楽しい時間を過ごすことができました。

 そして、13時すぎに山本氏による挨拶。そして山本氏へのプレゼント贈呈と、逆に山本氏からのお土産が参加者に配られたのです。

山本氏がイベント参加者へのお土産を持参。あみだくじでプレゼントされた

 気が付けば時間は14時過ぎ。カフェに滞在した4時間は、あっという間でした。小規模のイベントですから、山本氏の隙を見つけては、サインを求めて参加者が次々と突撃。最初から最後まで山本氏は大忙し。それでも山本氏は、最後まで楽しそうな様子です。これまで何度も山本氏を取材してきましたが、これまでになくリラックスしているように感じました。

NDロードスターができるまでの本の執筆
そして未来のマツダへ

 イベントを終えたところで山本氏に話を聞くことができました。その様子をインタビュー形式で紹介します。

――お仕事を辞めてからは、いかがですか?

山本氏 2月10日に会社を辞めましたが、次の週に広島のマツダ・ミュージアムでファンイベントがありました。その後は、横浜での「ノスタルジック2デイズ」があって、4月には「スタイルカウンシル」もあります。久慈でのファンミーティングもあるし、講演をやってほしいという話もあります。結構あるんですよ、忙しいなと思うし、ありがたいとも思っています。

元マツダロードスターの主査であり、今年2月にマツダを退社した山本修弘氏

――退社した後も、遠くまで出かけるのは大変ですよね?

山本氏 それは逆ですね。こうやって、ロードスターのお客さんと話もできて、素晴らしい時間が過ごせる。こんなに良いことはありません。うれしいし、ありがたい。僕の方が呼んでいただいて感謝しますという感じです。

――今後もこういう機会があれば、顔を出すということですね?

山本氏 行きますよ。行きたいと思うし。それが僕の役割というか使命というか。どんどん参加していこうと考えています。

――普通、会社をやめると暇になって困るという話を聞きますが。

山本氏 逆に時間があるので、まさに本を書くのに絶好なタイミングだなと思ってます。実は出版社から本を書きませんかと言われたんですよ。NDロードスターができた後のことは、いろいろ言っているけど、できる前の8年間でどんなことが起きたのか。どういう風に仕上がったのかは、僕にしか書けないことがあるし、書きたいと思います。マツダ広報にも相談してみたら「いいよ」と言ってくれたしね。こういうチャンスはないので、ぜひ残していきたいなと。

 だから今は、すごい充実していますよ。朝起きて、ウォーキングしながら、今日は何を書こうかなと考えて。午前中にザーッと書いてゆく。そういう日々が続いています。でも、会社に行かないのはちょっと寂しいなと感じながら(笑)。

――本ができるのは来年ですか?

山本氏 来年でしょうね。応援してもらいたいし、逆にプレッシャーを貰った方がいいと思うので。ついつい僕らが書くとレポートになってしまうんですね。本とレポートは違うので、難しいですね。

「リバイバルカフェ」の店内の一角には、写真のようにグッズ類を展示するコーナーがある

――ところで、会社をやめた後のロードスターに不安はありませんか? ちょうど今、クルマを取り巻く環境が大きく変わっていますし。

山本氏 大変だよね。でも、振り返ってみれば、僕が生きた時代もいろいろなことがありました。オイルショックがあってAM出向(1970年代に販売不振の全国の販社にマツダの社員が応援に出向したこと)があったり、2002年に2000人がリストラされたり、いろいろと会社の苦心を何度も体験しています。でも、大変なことがあったときこそ、まさに変革のチャンスなんですね。そういうことがあったからこそ、マツダは独自の道をちゃんと今までやってこれました。

 ですから、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electricの総称)になろうとも、電動化になろうとも、マツダのファンがいる限りマツダネス(マツダらしさ)を持ったクルマが絶対に出てくるんだと思う。そういった想いを期待しないといけないね。お客さんの、そういった想いはすごく響くんですよ。批判じゃなくてエールを送り続ける。応援するというのは、お客さんとして大事なんだろうなと、すごく思いますね。

主催者である今野繁幸さん。NAとNC、NDロードスターの3台を所有する

新車のNDロードスターの納車にあわせてディーラーからもらったというノート。製造した工場スタッフからのメッセージが記されている

――次のロードスターがエンジン車かどうかわからなくても、それでもマツダらしいクルマが出てくるということですね?

山本氏 ロードスターも、そのほかのクルマもそうですけれど、クルマは社会の影響を受けています。環境対策、安全対策は当たり前ですよ。その上で、何を価値にするのかと考えるますが「人がクルマを運転する」ということは、まったく変わりません。人が求める価値も、よくよく考えると、変わっていないんです。そう考えるとブレる必要はないんです。

 電動化もCASEもパーパス(目的)じゃなくて、ソリューション(解決手段)なんです。その手段を使って、マツダが何を目指すのか。そこさえ見失わなければ、マツダはずっとお客さんの期待に応えることができる。そう思うから、全然心配していません。ロードスターの電動化も、どんどんやっていけばいい。マツダならではの電動ロードスターを、みんな期待していると思います。

イベント当時、「リバイバルカフェ」はランチタイムを貸し切りとした。店内にはロードスター関連の書籍やミニカーなどが飾られていた

 もし僕が現役で会社にいれば、全力で作りたいと思うよね。だって、新しいことができるもの。エンジニアは、きっとそう思い描いているんじゃないでしょうか。そのためには技術がいる。今までできなかった新しい技術を、ブレークスルーして作る。それがエンジニアの仕事なので、今はやりがいがあるんじゃないですか。新しい価値を生み出さなくてはならないから大変かもしれないけれど、だからこそモチベーションをもってやっているんじゃないかな。また、やる価値もあると思いますよ。

──ありがとうございました。今後のご活躍も期待しています!

■関連サイト

筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 
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