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医療やバイオ、DXなど多彩な先進技術を有する大学発スタートアップの創出を目指す

TOHOKU STARTUP NIGHT 2023

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「簡易な機構を用いた放射線源の推定システムの構築」福島大学 笠井博則氏

ピッチをする福島大学 笠井博則 氏

 福島大学の笠井博則氏は、簡易な機構による放射線の観測に関する数理モデルを積分方程式で定式化し、特許を出願した。福島第一原発の事故では、放射線が視認できないことによる不安や疑心暗記が多く見られた。

 放射線量の計測機器はあるが、どの方向からどれくらいの量の放射線が発生しているのかまではわからないため、ピンポイントの除染作業も難しい現状だ。開発が進められているコンプトンカメラは1つの機器が1000万円程度するため、誰もが気軽に持ち歩ける価格帯の高性能な計測器が求められているという。

 笠井氏は簡易な機構による放射線の観測に関する数理モデルを積分方程式で定式化し「放射線特定方法」として特許を出願した。放射線の方向及び量の把握と、放射性物質の分布の推定を可能とする。既存の放射線を測る機器と比較して、より重要な情報を提供できるうえ、安価かつ運搬が容易な構成を開発する。

 今後は放射線量が高い地域で作業しなければならない行政や林業従事者に提供することを想定し、実証機の開発を進める。笠井氏は「福島への興味関心を維持していきたい。福島に興味関心を持っている方はぜひお声がけいただきたい」と述べた。

「透析医療DXのためのデジタルハブデバイス開発実証」新潟大学 大塚忠司氏

ピッチをする新潟大学 大塚忠司 氏

 新潟大学の大塚忠司氏は腎臓内科のドクターであり、透析医療をDXするデジタルハブデバイスを開発している。医療業界におけるDXの必然性は語られ始めて久しいが、なかなか進捗しない課題がある。

 電子カルテシステムに関する令和2年の調査では、57.2%の病院でしか使用されていない結果が出ている。原因は個人情報保護の観点から、紹介状やカルテのやり取りをファックスや原本の郵送などで行うという昭和からの習慣が残っているためであるという。また、電子カルテシステムの根幹の1つである保存性の観点から、診療情報(EHR)に現場のユーザーが容易にアクセスできない課題もある。

 大塚氏は診療情報を安全に民主化するシステムを開発する。電子カルテはもちろん、透析システムなど他の医療機器に点在する情報を一元化し、安全かつ効率的な状態にすることで、現場で利用可能にする。システムの優位性は、医療機器のベンダーを選ばずに接続可能な汎用性だ。

 今後は新潟を拠点に実証を進め、大塚氏の専門領域である透析治療に特化したシステムの構築を目指す。2023年度は新潟県内の設置病院を増やし、2024年度には全国展開を行い、2年後のベンチャー設立を目標としている。

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