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医療やバイオ、DXなど多彩な先進技術を有する大学発スタートアップの創出を目指す

TOHOKU STARTUP NIGHT 2023

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「網膜疾患治療薬開発に向けた基盤技術の強化と事業化体制の構築」岩手大学 山下哲郎氏

ピッチをする岩手大学 山下哲郎 氏

 岩手大学の山下哲郎氏は、有効な治療方法が確立されていない網膜疾患の点眼治療薬を開発している。視覚障がい者は全世界に約2億人以上いるといわれており、2050年までに5.5億人増加する予測もある。日本における視覚障がいの原因の60%以上が網膜疾患で、緑内障の推定患者数が400万人と最も多い。しかし、正常眼圧緑内障に対する治療薬が開発されていないのが現状だ。

 山下氏はシスタミンという化合物を点眼することで、網膜疾患の進行を抑制することを発見し、特許を出願した。網膜の損傷部を復元することは不可能だが、進行を大幅に抑制して患者の視力を長期間維持することは可能となる。患者に対するヒアリングでは「’失明は覚悟しているものの、少しでも長く視力を維持できる薬があればありがたい」という声も多いという。

 優位性は競合する薬剤が存在しないことや、点眼するだけで患者の負担が少ないこと、常温保存できるため、流通コストが低いことなどが挙げられる。直近では海外特許の取得に向けて動いており、2025年を目標に資金調達と起業を進めていく。

「配管探査を自動化するソフトロボットの研究開発」山形大学 多田隈理一郎氏

ピッチをする山形大学 多田隈理一郎 氏

 山形大学の多田隈理一郎氏は、配管探査を自動化するソフトロボットを開発している。高度経済成長期に集中的に整備された公共施設や集合住宅では、水道管やガス管などのインフラの老朽化が深刻な課題になっている。令和2年度の国交省の調査によると、老朽化した管路による道路陥没が2700か所も発生しているという。老朽管を交換する必要があるものの、経済的、時間的制約からすべての老朽管の交換は困難とされており、定期的な点検により事故を防止することが求められている。

 多田氏の配管探査ロボットはリアルタイムに3次元地図情報を作成し、補修が必要な箇所を特定することで、修理コストを削減する。建物の壁や天井を取り壊すことなく、3次元地図情報をCGとして取得し、補修が必要な箇所はカメラが撮影して特定する。

 優位性は車輪を用いない単純な機構により小型化、低コスト化が容易であることや、駆動部が内部にあるため、防塵、防水対策も可能であることなどが挙げられる。2022年度は製造したロボットをオペレーターと共に顧客に派遣する段階まで進んだ。今後はマニュアル付きのロボットやロボットキットとしての販売も進め、幅広い市場の開拓を目指す。

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