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医療やバイオ、DXなど多彩な先進技術を有する大学発スタートアップの創出を目指す

TOHOKU STARTUP NIGHT 2023

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「看護師の職業価値観を基にした看護師の価値観分類及びワーク・エンゲイジメントの予測による個⼈の価値観に合った病院推奨AIアルゴリズムの開発」東北大学 平山英幸氏

ピッチをする東北大学 平山英幸 氏

 東北大学の平山英幸氏は看護師の価値観にあった職場推薦システムを開発している。看護師不足は深刻化している。2025年には200万人が必要とされているが、現状は約166万人に留まっている。また、免許を保有しているが、勤務していない潜在看護師は、約70万人に上ると推定されている。

 人手不足の原因として、病院が人材紹介サービスの費用対効果が悪いと感じていることや、看護師が人間関係や職場ごとに異なる価値観により退職することなどが挙げられている。

 平山氏が提案するのは看護師の価値観に合った職場推薦AIだ。看護師が入力した経歴や価値観を分析し、医療機関には適した人材を紹介し、看護師には職場選択のサポートを提供する。ビジネスモデルは、従来型の医療機関から紹介手数料をもらう形式だが、AIを用いることで相場の半分程度の料金を目指すという。

 現在は看護師データを取得して、推薦アルゴリズムを開発している段階だ。将来的には看護師向けの人材紹介で成果を出し、介護など他の業界にもサービスを展開することを目指す。平山氏は「あらゆる場所で、質の高い看護と最適な医療が提供される社会を実現したい」と語った。

「プラスチック混合廃棄物に適用可能なケミカルリサイクル技術の開発」弘前大学 吉田暁弘氏

ピッチをする弘前大学 吉田暁弘 氏

 弘前大学の吉田暁弘氏は、混合プラスチックに適用可能なケミカルリサイクル技術を開発している。日本におけるプラスチックのリサイクル率は85%と高い水準だ。しかし、サーマルリサイクルと呼ばれる可燃ごみとプラスチックをあわせて焼却して熱を回収する方法が大半を占めているため、最終的にプラスチックが二酸化炭素になってしまう課題がある。

 吉田氏が開発するのは使用したプラスチックを、再びプラスチック原料に戻す技術だ。生活系廃プラスチックには5大プラスチックが混在しており、原料に戻すためには混ざりものを分離するか、混ざりものでも処理できる技術のどちらかが必要となる。

 吉田氏は5大プラスチックが分解されるときの反応の違いを制御することで、再利用可能なプラスチックを分離、回収する技術を開発した。手作業で分けるのではなく、反応の制御により自然に分けられるプロセスだ。混合廃プラから直接プラスチック原量に戻せる技術は競合優位性も高いという。

 家庭や産業廃棄物のプラゴミだけではなく、アパレル業界にも注目している。反応制御による分離技術で回収した繊維やケミカル原料の販売、エンドユーザーにつながるペットボトルの販売なども見据えている。吉田氏は「地球に負担をかけない形で、便利なプラスチックや化学繊維を使う未来を切り開きたい」と語った。

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