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Pictoria、人工知能で成長するAI VTuber「紡ネン」の描く未来社会

かーずSPが聞くデジタルコンテンツスタートアップの最前線 株式会社Pictoriaの代表取締役・明渡隼人氏インタビュー

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生身のVTuberが休んでいる時にはAIのVTuberが配信する
人間の活動を補完できるAI VTuber

――VLiver事務所「MOKUROKU」が2021年2月に新設されました。人間のアバターであるVTuberの他に、AI VTuberのビジュアルもありますが……?

明渡:「MOKUROKU」ではVTuberとAI VTuberを絡めた事務所を目指してチャレンジ中です。例えば、普通に配信しているVTuberの時間以外に、配信していない時にはAI VTuberがずっと配信しているとか、そうした形で活動を拡張していければいいなって。人間のVTuber活動を補完できる、人間じゃできないところをサポートしてあげることを目的に、これからもいろいろと出していきたいですね。

――人間のVTuberと人工知能のVTuberでは、運営のやり方は違ってくるのでしょうか?

明渡:はい、まったくの別物だと感じています。人間の場合は、企業の思いと本人がやりたいことの方向性を擦り合わせていくことに、莫大なコストがかかります。それでも、VTuberの子たちがやりたいことを、どうサポートできるかを考えていくのは楽しいです。それがVTuberをプロデュースするやりがいでもあり、大変なところでもあります。

――AIのVTuberはどうなのでしょうか?

明渡:人間のVTuberは、本人が面白いと思ったことを自分でプランニングしてくれますが、AIのVTuberの場合は、面白いことを我々が考える必要があります。「これが面白いんじゃないかな?」って自発的には動いてくれませので(笑) 常に面白さを生み出すことと向き合い続ける姿勢が求められます。ソーシャルゲームに近い運用という観点が出てくるので、そこがAI VTuberの難しいところですね。

――例えばスマホゲームでいうところのイベントを定期的に実施するなどでしょうか?

明渡:はい、シーズンを作ったり、アップデートしていったり。日々のKPIの見方もソシャゲ的になってきますし、人間のVTuberとは全然違います。YouTubeに書き込まれるコメント欄一つを取っても、どういうコメントがあるのか、ユーザー同士でどういう盛り上がりをしているのか。ソシャゲのコミュニティの作り方に、非常に似ているところがあると感じています。

――AI VTuberの今後の未来についてはどうお考えでしょうか?

明渡:アイドルはいつか卒業しますけど、AI VTuberは歳を取らないので一生続けることができます。Web3っぽい思想が入りますけど、いつか運営の元を離れて、そのAI VTuberが好きな人たちによって変容していく……そのAI VTuberのファンたち自身が育ててくれる、そんな未来がきたら嬉しいですね。

――それでは最後に、これからの野望についてお聞かせください。

明渡:日本の人口が減っていく中で、IPコンテンツとか観光とか自動車とか、そうしたオリジナリティを出せている分野が非常に少ないです。その中でVTuberは日本から生まれたジャンルですし、さらにAI VTuberが出てくれば「日本ってすごい国だな」ってグローバルな存在感を示し続けられると思います。AI VTuberというコンテンツで、そうした日本のプレゼンスを引き上げていきたいって思いは、常に心の中にあります。でも誤解しないでほしいのは「VTuberが日本人の強みだから、国外に技術を流出させてはならない」って閉鎖的な考えは、全くありません。必然的にAI VTuberがWeb3の仕組みを使って、日本が評価されることを目指したいです。

――本日はありがとうございました!

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