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教育のデファクトスタンダードとなる記憶定着サービス目指すMonoxer

「単なる記憶のためのサービスに終わらない」モノグサ代表取締役 CEO竹内孝太朗氏インタビュー

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『教育』への強いこだわり

 数学への取り組みとともに課題となるのが公立学校への導入だ。導入にコストがかかるため、塾、予備校、専門学校、私立学校などには導入実績が出ても公立学校は予算が壁となって導入はなかなか進まない。

 「予算が壁となっているため、公立学校に導入してもらうようになるには、とにかく実績を出していくしかないと思います。実績が出て、公立学校であっても導入せざるを得ないと思えるようなものになれば、状況は変わるはずです」(竹内氏)

 公立学校は諦め、例えば企業の資格制度のための学習といった安定して利益を獲得できそうな分野に特化していくことも企業として選択肢のひとつだと思うが、「やはり、全人類に使ってもらえるサービスを目指すというスタンスでいたい」と竹内氏は話す。

 「確かに短期的な収益という点では、もう新たな開発は全部止めてしまって、一番儲かるところに特化して、従量課金制にするといった方法もあるとは思います。しかし、それでは、『記憶を日常に。』というモノグサのミッションが実現できません。ですので、長期的な目線で、全人類が利用できる記憶のサービスを作ることを諦めずに目指しています。もちろん、短期的な収益を優先する企業としてやっていくというのも一つの方向ではあるとも思いますが、起業してからは、常に挑戦をしていくという方針のほうが社会から支持されると感じています」

 この竹内氏の教育に対する強いこだわりは、インタビューの中で出たさまざまな発言の中からも感じられた。

 「日本では義務教育を受けない子どもがいると大問題になりますが、世界を見ると義務教育を受けていない子どもはいくらでも存在します。これを変えていくためには、教育が必要であることが当たり前という水準へと変えていくしかない。そもそも、勉強をすることにお金がかかるというのは人類のバグだと思っています」

 竹内氏は起業前のリクルート時代、映像で勉強するサービス『スタディサプリ』に携わり、高校生向けの営業組織作りを担当した。その当時からMonoxerのアイデアがあり、自身でスタートアップ立ち上げを宣言していたという。

 「記憶を定着させることが課題だとは思っていました。それを実現するようなサービスをスタディサプリで作ることもできませんでした。また私のほうでも、アイデア自体はあったのですが、当時はサービスもできあがっていませんでした」

 モノグサで実現したのは、竹内氏の教育へのこだわりと、同社代表取締役CTOである畔柳圭佑氏によるところが大きいという。畔柳氏は東京大学大学院情報理工学系研究科卒業後、グーグル株式会社に入社し、Text Frameworkの高速化およびLaptop対応、ソフトウエアキーボードの履歴・Email情報を用いた入力の高精度化などを担当。竹内氏とは高校の同級生だ。

 「現在のモノグサの事業が成立しているのは、99%畔柳のおかげです。私はアイスに例えればバニラビーンズみたいなもので、私が抜けてもラムレーズンを足せば、ラムレーズンアイスになります。抹茶を加えれば抹茶アイスになります。私が抜けても他のアイスになりますが、畔柳がいなかったらアイスにはなり得ないんです。畔柳のもと、さまざまなエンジニアが集まってくれました。思っていたことを具現化させる環境はそろいました」と竹内氏は自社の環境に自信を見せる。

 2023年度からは社会では山川出版社の『山川一問一答シリーズ』、数学では啓林館の『Focus Gold』など、さらに多くの出版社と提携した教材がモノグサ上で学習できるようになる。「新しいサービス等も構築しながら、Monoxerがなければ勉強ができないというくらいの定着を目指します」とサービス定着を進めていく。

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