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優れた技術者を求めるなら開発生産性を高めよ!Findyが進める2023年のエンジニア組織とは

連載
マスク・ド・アナライズのスタートアップ!人事!

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マネージャーを志望するエンジニアが減っている

マスクド:開発生産性を高める組織を作り上げるには、どのような施策が必要でしょうか。

佐藤:まずは CI/CD(継続的インテグレーション / 継続的デリバリー)に時間を割くことです。弊社の取り組みを紹介すると、2021年の初めにはリリースが週1回でしたが、いわゆる「ビックバンリリース」と呼ばれるまとまったリリースのため、差分やバグに悩まされていました。そこで生産性を高めるべく、テストの自動化の拡充や、コードレビューの高速化を行いました。現在ではフロントエンドとバックエンドを含む全てのサービスで、毎日1回以上リリースできるようになり、単純計算ですが15倍ほどリリース頻度が向上しています。このようなエンジニアにとって開発しやすい環境作りを追求しています。

マスクド:エンジニアのキャリアプランについて、どんな動きがありますか?

山田:将来のキャリアプランとして、マネージャーを志望するエンジニアが減っています。弊社サービス利用者へのアンケートでは、56%が技術のスペシャリストであるテックリードを目指すのに対して、チームのマネージャーは13%、プロダクト・マネージャー(PdM)は10%でした。2021年7月に行った同じアンケートでは、チームのマネージャーが19%、PdMが17%だったので大きく減少しています。また、エンジニアをマネジメントする側としては、リモートワークにおける懸念として管理や把握が難しい点があります。

 特にリモートワークでは新人教育面における弊害があり、2020年から2021年においてフルリモート勤務が前提だった新人エンジニアは成長が鈍化したという問題もありました。チームマネジメントにおいて、シニアエンジニアがリモートワークでも高い生産性を維持しつつ、新卒やジュニアレベルのエンジニアを育成することが重要です。そのためにエンジニアの技術力を活かせる優秀なマネージャーを増やすことが大事ですし、DXによって内製化を進めたい大企業にとっても、1から組織を作れるマネジメントスキルを持つ人材は貴重です。そこで弊社としてマネジメントの負担を減らしたり、組織管理を支援するサービスなどを提供していきます。

マスクド:エンジニア個人やエンジニアの採用を進める企業において、2023年に向けて取り組むべき点はなんでしょう。

佐藤:繰り返しになりますが、エンジニアの生産性を上げることが非常に大事です。そのために必要なのが、エンジニアにおける可視化だと考えています。例えばサーバの監視において危険領域となるしきい値を把握すれば、障害が起きる前に対処できます。同じようにエンジニアも会社と合意を得た範囲内で体調や進捗などを可視化して共有しながら、パフォーマンスを把握するのも良いと考えています。そうすることで本人もマネジメント側も感覚によって誤った判断を下すのではなく、数字と認識をすり合わせて最適な判断をするのが大事だと思います。

山田:エンジニアを採用したいビジネスサイドの方から「どうやって採用すればいいか?」という相談をいただきます。ブランディングや採用広報を強化するなどの方法はありますが、一方で採用力がある企業はどんな手法や媒体を使っても優秀なエンジニアが集まります。こうした背景には、整備された高い開発生産性があるからです。そして単純にエンジニアの人数を増やすよりも、開発生産性を向上させる方が全体の費用を下げながら目標とする機能開発を実現できることは経営側として実感しています。

 開発生産性の向上においては、ビジネスサイドの方にも認識を持ってもらえると嬉しいですね。合わせてビジネスサイドにおけるエンジニアへの歩み寄りとして、技術への理解も重要です。エンジニアに対して「この機能を実現しろ」「障害を起こすな」と要望を出すことがありますが、実際の開発現場において新たな機能をバグや障害を起こさずに実現するのは非常に困難です。些細なミスで動かないプログラムを開発するエンジニアは、プログラミング言語である「Java」を「java」と表記されていると違和感を抱く意識で開発をしています。こうした肌感覚で開発を進めるエンジニアに対して、ビジネスサイドはもっとリスペクトを持つべきでしょう。

 私は起業家ですが、「こんなもの作りたい」と思っても自分では作れません。グローバルの経営者や20代前半の若い起業家ならプログラムを書けるでしょうが、すべての起業家がそうとはいきません。こうした背景もあって、エンジニアへの歩み寄りやリスペクトを重要だと痛感しています。

取材を終えて

 海外では大手IT企業のリストラなども話題ですが、日本ではエンジニアの需要は高いままです。一方で、安易な転職で後悔するエンジニアもいます。エンジニアにとっては給与などの待遇だけでなく、自分の能力を発揮できる環境で働くことが大事でしょう。取材の中で「マネージャーは扇の要」という言葉が印象的でした。Findyでは開発生産性にこだわり、CEO自身もエンジニアに対する理解があり、その上でマネジメントの重要性を憂慮していました。エンジニア個人が技術力を伸ばすだけでなく、働く環境と管理監督するマネージャーも同じくらい重要だと感じる取材でした。

マスクド・アナライズ

空前のAIブームに熱狂するIT業界に、突如現れた謎のマスクマン。
現場目線による辛辣かつ鋭い語り口は「イキリデータサイエンティスト」と呼ばれ、独特すぎる地位を確立する。
"自称"AIベンチャーを退職(クビ)後、ネットとリアルにおいてAI・データサイエンスの啓蒙活動を行う。
将来の夢はIT業界の東京スポーツ。
最新書籍「データ分析の大学」が好評発売中!

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