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子どもたちを虜にするロボットプログラミング教室「ロボ団」は「好き」を「学び」に変える

堺市発のイノベーションを創出するスタートアップ起業家連続インタビュー第3回 Part 1

特集
堺市・中百舌鳥の社会課題解決型イノベーション

提供: NAKAMOZUイノベーションコア創出コンソーシアム、堺市

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人と人との繋がりが事業成長を加速する

――ロボ団をスタートして、子どもたちの注目が高まってきて、会社も次の段階に進む準備ができてきました。そこでどういったことをされたのでしょうか?

重見:2016年の春ごろに2つの転換点がありました。1つはフランチャイズ制の採用です。当時は堺市の1教室だけでしたが、ロボ団を何教室も作るとか、学童保育の施設を何個も作るというのは無理だと思っていました。でもロボ団がメディアなどで取り上げられて、うちでもやりたいという方が何人も出てきて、それならフランチャイズというやり方があるかなと。

フランチャイズ制採用から7年で生徒数5,500名を超える急成長

 もう1つは本社(堺教室)の移転です。もうキャパが一杯で、これ以上生徒を受け入れられなかった。しかも教室事業をやりながらフランチャイズ事業もやろうとすると、組織の方も求められる。そんな時に堺市の中百舌鳥駅前に100坪の物件が出た。今でしたらそんな意思決定はできないと思いますが、当時はこれしかないと思っていたんです。

 それで銀行から借り入れをしようとしたら、支店長がわざわざ教室を見に来て下さって、こういう教育はこれから絶対に必要になるからとお金を貸して下さった。売上数千万円の会社が何千万円も借りて新しい教室を作るということは、当時はあり得なかった。

 でも銀行が貸してくれるだけでなく、ビルのオーナーも我々の事業に共感して頂きまして、内装工事の一部を負担して下さった。そうして全然塾っぽくない教室を作ったら、生徒もすごく喜んだし、フランチャイズの方からも本部がすごくきれいだと喜んでくれました。

 まだまだ実態が伴ってない教室でしたが、それでも言っていることとやっている教室のあり方が一致してきた。人の採用をする時もそういうものを全面的に押し出していきました。今はその時採用したメンバーが会社の中心のリーダーやマネージャークラスになって、会社を牽引してくれています。あのチャレンジがあったからこその今だなとすごく思っています。

――それまではご自身だけで教室を運営していたのに対して、フランチャイズ化となると他の方に任せなくてはいけない部分が出てきます。怖さというのはありませんでしたか?

重見:ありましたね。ですからフランチャイズオーナーは真剣に選んでいました。当時はロボ団を始めて3年目くらいで、教材に関してもまだまだ不完全だと思っていました。そこでオーナーさんにはパートナーとして一緒に作っていってくれることが条件ですとお伝えしました。テキストを使って教室をやったら、必ずフィードバックを下さいと。

 1つの教室だけで(ロボ団を)やるのではなく、いくつもの教室でやることによって、PDCAを回す回数が増えるし、もっと良いものができる。そういうやり方に賛同していただけるオーナーさん達だけとやろうと最初から決めていました。そのオーナーさん達は今でもロボ団を続けて下さっていて、本当に有難く思っています。

「好きを学びに、社会とつながる」多様なコンテンツ開発が進む

――ロボ団を拡張するにあたって、フランチャイズオーナーを募集するとか、資金借り入れの銀行とか、ビルのオーナーなど、人と出会うところはどうやってこられたのでしょうか?

重見:そこはやはり自分自身のコミュニティを拡張していくことがキーだったなと思っています。創業時には堺市の商工会議所が主催していた起業セミナーに参加していたのですが、そこが起点でした。次に大阪府のビジネスプランコンテストを通じて人脈が拡がり、堺市外のコミュニティができてきた。そういった方から紹介を受けたら必ず会いに行くようにしてコミュニティを拡げていきました。

 学童保育のビジネスモデルは地域密着型ですが、地域密着で終わっていたら今みたいに成長していなかった。自分のコミュニティを拡げて、もっといろんな人たちに出会うようにしていくことを常に考え続けていました。

 自分自身の伸びしろがどのくらいあるかわかりませんでしたが、でも自分には可能性があると信じていました。だからチャンスを活かすということだけを考えていました。ただ、私のやっているのは教育事業でしたから、ワクワクする志を実現していく、そういう背中を社員にも子どもたちにも見せたいと思っていました。ですから入るのは安定志向ではなくて成長志向のコミュニティばかりでしたね。

 そうするうちに上場会社の先輩達にアクセスできるようになってきた。そこで成長させていくために何が必要かとか、どこでつまずいたとか、いろんな経験をシェアしていただけるようになった。例えば人を採用するときに、どんなツールや媒体が採用する人材と相性が良いのか。そういうことは起業直後だとわからないですけど、先輩方に聞けば「あそこの担当者が良かった」とか紹介してくれる。すごく時短になりましたし、逆に今は私が若い経営者に伝えていっています。

 あと、経営者って実は孤独なんです。コミュニティに入っていなかったら、(悩みなどを)ずっと自分の内側に貯めたままになってしまう。愚痴を言い合うというのではなく、もっとこうしていきたいねと(コミュニティを通じて)語り合うことで、自分自身のモチベーションを高め続けることができたということは非常に良かったと思っています。

 後半のPart 2では、株式会社エディオンのM&A後の成長などを中心にお届けします。

(提供:NAKAMOZUイノベーションコア創出コンソーシアム、堺市)

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