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米国政府が暗号通貨枠組みレポートを公開。規制強化への布石、デジタル米ドルにも言及

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マネーロンダリング防止と法改正の可能性

 消費者・投資家保護に向けた動きは、マネーロンダリングなどの不正な金融活動の取り締まり強化とも軌を一にするもの。

 暗号通貨枠組みレポートでは「違法活動の取り締まり(Fighting Illicit Finance)」項目の中で、不正活動の取り締まり計画が詳述されている。

 この項目は現行法の改正が必要となる可能性があるため、米メディアも高い関心を寄せている。

 ここでいう暗号通貨市場における不正な金融活動とは、テログループやならず者国家が暗号通貨市場を通じて、テロ資金や大量破壊兵器の資金を得る活動のことを指す。暗号通貨枠組みレポートでは、北朝鮮のハッカー部隊Lazarus Groupが関与したとされる1億ドルに上る暗号通貨ハッキング事件がその事例として挙げられた。

 暗号通貨市場における不正な金融活動を阻止するための施策として、まず大統領が関連する現行法を連邦議会での改正が必要かどうかを評価する。対象となるのは、銀行秘密法(BSA)、情報漏えい関連法、無許可送金を禁止する法律など。また、デジタルアセット全般が規制の対象となり、暗号通貨だけでなく、NFTもその範疇に入る。

 また、無許可送金の罰則水準をマネーロンダリング法が規定する水準まで高め、厳格化するかどうかを検討するほか、デジタル資産関連の犯罪が起こった場合、その場所に関係なく、司法省が介入できるよう連邦法を改正するかどうかも検討対象となる。

 米財務省も取り組みを本格化させる。同省は分散型金融(decentralized finance)に対するリスク評価を2023年2月までに、NFTに対するリスク評価を2023年7月までに完了させる予定だ。

他の暗号通貨への対抗手段としてのデジタル米ドル

 市場関係者やメディアは、どのような規制がどれほどの厳格さで適用されるのかに関心を寄せているが、暗号通貨枠組みレポートの最後に挙げられた「中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)」も多くの注目を集めている。

 暗号通貨レポートでは、米国中央銀行発行のデジタル通貨(デジタル米ドル)は、ストレス時に意図しないリスクをもたらす可能性があるとしつつも、非常に大きな利点があると強調されており、CBDCに対し米国政府の前向きな姿勢があらわれたものとなっている。

 暗号通貨枠組みレポートは、CBDCの利点として、今より効率的な支払いシステム、技術進歩の基礎、迅速な越境取引を挙げたほか、ファイナンシャル・インクルージョンの促進、経済成長の促進、経済の安定、サイバー犯罪からの保護、不正金融取引の最小化など、その利点が多岐にわたることを強調している。

 デジタル米ドルに関しては、米連邦準備理事会のパウエル議長が昨年、他の暗号通貨を駆逐するためにCBDCを発行するインセンティブがあると発言し注目を集めたところ。パウエル議長は、デジタル米ドルがあればステーブルコインや暗号通貨の必要性はなくなる。これがCBDC導入を支持する強力な理由の1つだと述べている。

 暗号通貨やステーブルコインに対しては、米連邦準備理事会/パウエル議長だけでなく、米財務省/イエレン米財務長官からも同様に厳しい姿勢が垣間見える。

 2022年10月3日、米財務省は暗号通貨に関する新しいレポートを発表。財務省はこの中で、規制なき暗号通貨市場が米国金融市場に多大なリスクをもたらす可能性があると指摘し、適切な規制が必要であるとの主張を展開している。

 米当局はいずれも規制が必要であるという点では見解が一致しており、今後米国では暗号通貨やステーブルコイン、NFTに関する規制議論がさらに活発化することが見込まれる。

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