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米国政府が暗号通貨枠組みレポートを公開。規制強化への布石、デジタル米ドルにも言及

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米国政府の枠組みレポート、暗号通貨の規制強化姿勢鮮明に

 依然低迷を続ける暗号通貨市場、米国ではバイデン政権による暗号通貨の規制枠組みが発表され、市場プレイヤーらの注目を集めている。これは、バイデン大統領が2022年3月に関係省庁に対し発令した暗号通貨のリスクと利点の洗い出しを求める大統領行政命令(executive order)に呼応するもの。

 3月の大統領行政命令では、以下7つの点が重要分野として掲げられた。

●消費者・投資家の保護
●米国と世界金融の安定とシステミックリスクの軽減
●違法活動の取り締まり
●世界市場における米国の競争力強化
●ファイナンシャル・インクルージョン
●責任あるイノベーション
●中央銀行発行デジタル通貨

 上記7つのポイントの中で特に注目されているのが消費者・投資家の保護だろう。大統領行政命令で真っ先に言及されたこと、また消費者・投資家を保護するための規制強化が進められることで、ビジネスに影響が出る市場プレイヤーが多数いるためだ。

 今回2022年9月16日に発表された暗号通貨枠組みレポートでは、上記7つのポイントに関して、それぞれの問題解決に向けた計画や取り組み内容が詳述されている。

 この新しい枠組みの登場で米国の暗号通貨市場ではどのような変化が予想されるのか。暗号通貨枠組みの内容から、その動向を探ってみたい。

暗号通貨市場のリスク増大、消費者・投資家保護に重点

 2022年3月の大統領行政命令、そして9月の暗号通貨枠組みレポートでしきりに強調されているのが消費者・投資家の保護だ。

 現在のところ、米国では暗号通貨市場における規制監督を法的に義務付けられた機関はなく、被害は拡大傾向にある。

 このほど発表されたレポートは、暗号通貨市場が2021年11月時点で3兆ドルに達したことに言及、市場が短期間で急速に拡大した一方、規制が追いついておらず、リスクや被害が拡大していると指摘している。

 リスクについては、2022年5月に発生した一連の暗号通貨ファンドの破産を引き起こしたステーブルコイン「TerraUSD(UST)」の暴落が事例として挙げられているほか、FBIの調査報告が参照され2021年の暗号通貨に関する詐欺事件が前年比で600%近く増加したなどが挙げられている。

 同レポートは、こうした状況を鑑み、米証券取引委員会(SEC)や米商品先物取引委員会(CFTC)などの規制当局による違法活動の取り締まり強化が必要であると強調。また規制当局は違法行為に対して、積極的に調査を行い(aggresively pursue investigations)、執行措置(enforcement actions)を追求すべきと強い言葉が用いられている。

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