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弁理士の日にスタートアップが語った「知財活動をやって良かったこと」

令和4年度弁理士の日記念式典「スタートアップ×知財~成功の秘訣!~」レポート

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スタートアップの成長要因と知財

 最初の質問は、「各社の事業内容と、これまでの知財活動の取り組みについて」というテーマで、自己紹介を兼ねて事業内容と知財活動の取り組みについて披露された。

 株式会社UPSIDERでは、クレジットカードの法人カードなど支払いに関するソリューションを中小企業やスタートアップ向けに展開している。近年、個人向けだけでなく企業間取引でもクレジットカードなどを利用するケースが増えており、利用金額や使用する人、役割が広がっていることから生じる課題を解決するものだ。現在は、1000社以上の利用者数があり、継続率も99%と好評を得ている。

 知財活動としては、プロダクトリリース前からビジネス特許を複数取得しており、具体的な効果は顕在化していないものの、今後も積極的に特許を取得する予定で、知財は重要な経営課題と位置づけていると回答があった。

 モデレーターの安高氏からは、驚くほど急成長している要因はなにかと質問があり、それに対しUPSIDERの宮城氏からは、成長要因とリリース前からの特許申請などの戦略を一致させていると回答。

 従来のスタートアップのトレンドは、ニッチな領域をニッチな規模でというのがあったが、今では領域ど真ん中をテクノロジーで抑えにいくというものも増えてきている。テスラなどの事例を挙げ、大企業がしのぎを削っている領域で自社のイノベーションを活かすには、事業化する前からの知財対策が重要であり、大きな市場でイノベーションがあるとそれが大きな成長へつながるという良い循環が得られると説明があった。

 株式会社エクサウィザーズは、AIを使って各企業の課題を解決するAIプラットフォーム事業とAIを使った自社製品の開発を行なうAIプロダクト事業を展開。プラットフォーム事業で抽出された汎用的な課題をプロダクト事業に活用し、逆にプロダクト事業で得た知見をプラットフォーム事業にフィードバックするという相互補完になる関係性を目指している。

 知財への取り組みは、年間50件ほど出願しており現在累計150件ほどの出願を行なっており、部門ごとに知財に関する定例会を開催し、事業が始まるところから知財が関わるという活動をしている。また、特許や商標の出願を一部内製化したり、特許活用のアイデアソンをするなど行っているという。

 Matchbox Technologiesの佐藤氏からは、この発表資料を見たときに驚いたと表明があり、1年間に50件もの発明を繰り返しているのはすごいと評価。特定の部署で出願が多いのか、部門に関わらず出願できているのか、実現できる理由やその社内文化背景について質問が出た。

 梶氏は、最初は出願する文化を醸成するためにとにかく出願するということを行った結果、満遍なく出願するような状況になったと答えた。また、特にどの部門への知財教育が重要かという質問には、事業開発(ビジネスデベロップメント)部門からビジネス特許に関するアイデアが出てくることが多いので、エンジニアよりもビズデブのほうが先だったと回答した。

 続いては、株式会社Matchbox Technologiesの事業紹介。同社は、自社独自の人材確保手段であるダイレクトソーシングのテクノロジー開発と、スポット求人のためのギグワークプラットフォーム開発を手がける。

 ダイレクトソーシングでは、定年退職した従業員やパート・アルバイト経験者などを自社の人材プールとして活用するもので、1日単位で復職や勤務ができる柔軟な働き方に対応するソリューションを用意。育休や介護で休職している従業員とも良い距離でつながれるなど、人手不足に悩む企業の一助となるもの。

 ギグワークプラットフォームでは、社内に限定していたダイレクトソーシングを地域の経験者などに広げて、最初のマッチングではプラットフォームを使用して採用するが自社との相性が良いという場合には自社会員に招待してその後はダイレクトソーシングとして運用するというもの。単なる人手不足というよりスキルや人柄など信頼できる働き手を求めている企業に採用されているという。

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