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『STEINS;GATE』スタッフが贈る科学ADVシリーズ最新作!

ハッキングトリガーの“気付き”がクセになる!『ANONYMOUS;CODE』開発陣が作品へ込めたこだわりとは?

2022年08月16日 11時00分更新

文● Zenon/ASCII

編:今回の物語では舞台を2037年に設定していますが、これはなぜでしょうか?

林氏:2036年問題と2038年問題を話の軸に使うのは初めから決まっていたので、2037年を舞台にしたのは必然でした。ジョン・タイターの関連性を匂わせる意味合いもあったかもしれません。

末廣氏:『STEINS;GATE 0』のティザービジュアルでUDXっぽい建物に人工衛星「SA4D」が突き刺さっているものがあるのですが、それも本作との関連性を匂わせていますね。残念ながら、本作にこのビジュアルは登場しませんが、TIPSで「地上に不時着した機体も存在する」という形で少し触れています。

松原氏:2036年問題でサッドモーニングを経験した世界中の人たちが、2038年さらに大きな厄災が来るかもしれないという心情の元に動く物語が“世界の危機”を表現するのに適しているのではないかという考えもあって、2つの年の間である2037年を描いています。

『STEINS;GATE 0』のティザービジュアル

編:作中ではBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)の普及が進んでいます。これから15年の間に、こうしたデバイスやVR/ARの普及はどのくらい進むとお考えでしょうか。

林氏:イーロン・マスク氏がニューラリンクという会社でBMIの研究を進めているのですが、現実がすでにフィクションに追いつき始めているとは思っています。割と実現は早いのかなって。あとは軍事関係のVR/AR技術は競争が激しいと聞いたことがあります。「ソードアート・オンライン」のようなフルダイブVRは実現したら帰ってこれないと個人的に思っているのですが、意外と実現する気配がないなと残念に思っています(笑)。

松原氏:単純に考えてもネックはヘッドマウントディスプレイで、あれがある限り一般に普及するのは難しいと考えています。もう一段二段、BMI的な簡易に扱えるなにか(ブレイクスルー)が欲しいところです。

編:ゲームメーカーとしてはVRゲームを発売はしていなくても、VR自体の研究はされてるのでしょうか?

松原氏:PS VRのテスト機は研究していました、一応『ROBOTICS;NOTES』のキャラクターと対面してコミュニケーションできるものを作りはしたのですが、そこから面白くするアイデアが思いつかなかったので、その実験止まりでしたね。今ならトラッキング要素も増えていたりVRはかなり進化していますので色々考える事もできますね。

作中ではピアスを開けるくらいの気楽さでBMIをセットアップできる

編:本作でハッカーたちの“武器”となるキーボードにはこだわりが込められているとお聞きしました。デザインのこだわりをお聞かせください。

松原氏:まず入力端末ってもっと自由なんだという考えがあります。BMIのようなものが広まっている世の中である以上、個性的なキーボード(入力端末)を持たせてキャラ付けできるようにしようと思いました。

 自分も元からああいうガジェット的なデバイスには並々ならぬ興味があったのですが…。以前、志倉に自作キーボードの専門店に開発チームの何人かを連れて行ってもらったことがありまして、そこで基板とパーツ、Pro microなどのマイコンを用意して組み上げる「自作キーボード」を初めて作った際、自分の使いやすいデバイスをカスタマイズするという面白さにはまったんです。今だとスイッチを自分好みに変える事でキーの重さを変えたり、キーの用途の違いを出すためにメインを茶軸にして一部のキーは青軸にしてといったことをやっていたりします。

 それも劇中のデザインには反映されていて、ポロンのキーボードは専門用語でいうと1Uや2Uサイズのキーをマグネットで自由に付け替えられるようになっています。3Dモデルもしっかり作ってあって、内部のスイッチとか軸のところにあるバネとかも全部モデリングされています。ゲーム中には1ミリも映らないのですが(笑)。そういったところにまでこだわりを込めています。

ポロンが使う自作キーボード。少ないキーながら、特殊な打ち方をすれば250種類以上の打ち分けができるという

編:科学アドベンチャーシリーズ作品には、都市伝説や過去実際に起きた事件、最新技術などがキーワードとして取り入れられています。作品制作には膨大な知識が必要かと思いますが、こうした知識は普段どのように収集されているのでしょうか。

林氏:基本的には志倉がネタ元になっています。いつ読んでいるのかというほどの膨大な本を読んでいて、メジャーなところでは科学雑誌「Newton(ニュートン)」などを読んでいます。

松原氏:週に一回、志倉がミーティングを行なって私たちにネタを共有し、それを元にアイディアをふくらませていくといった感じですね。『ANONYMOUS;CODE』ではそうしたミーティングが1年以上続けられました。毎週毎週、夕方から終電間際まで。あの頃はコロナ禍ではなかったので、会社に集まってやっていましたね。

編:コロナ禍での開発への影響というのはどのくらいあったのでしょうか?

松原氏:『ANONYMOUS;CODE』の開発チームは完全テレワークになっています。ちょうど志倉とのミーティングが終了したタイミングあたりでコロナが始まってしまったのですが、それほどやりにくかったという思いはなかったですね。むしろ効率は逆に上がったかもしれません。もともとそこまで大規模な開発スタイルでもなく個人個人の技量にたよる制作スタイルでやってきたので、大きな問題はなかったですね。

林氏:コロナ禍が始まる前からリモートで会議する経験が多かったのも大きいかもですね。

松原氏:よく家だとサボってしまうとか集中できないとかって人もいるって聞きますけど、このチームはそんなこともありませんでした。

末廣氏:個人的には出勤時間がなくなったので、そのぶん映画を見たりとか「インプット」の時間が増えましたね。シナリオ制作にも少なからず影響していると思います。

編:その他、物語や世界観、キャラクターに関するこだわりなどがあれば、お聞かせください。

末廣氏:今回のシナリオでは「クエスト」のある章を担当することが多かったので、用語解説を作るのが大変でした。「ブロックチェーン」など、専門用語を知らない人の入門にもなるように、なるべくコンパクトにわかりやすく説明するということを心掛けましたので、ぜひ読んでもらえればと思います。

 あと、ハッキングトリガーでポロンにロードを提案する際、「今じゃない」とか拒否するセリフがあるんですけど、かなりバリエーションを用意したので用がなくても提案してみてほしいです。ポロンが走っているときに提案すると息を切らして「い、いまはむり」とか答えてくれるので、遊びでやってみてもらえればと。ちなみに数えたら300以上バリエーションがありました(笑)。

普段耳にしないような言葉は大体がTipsとして解説されているので、IT用語に詳しくなくても安心だ

林氏:メタ科学ADVと謳っているので、ポロンがプレイヤーに話しかけてくる場面が多々あるんです。それによって「プレイヤー=主人公」の同一感が薄れて、より客観的に物語を見られるんですね。すると、主人公とは別の登場人物として『ANONYMOUS;CODE』の物語に参加できる、という部分が一番面白いところだと考えています。ぜひ実際にプレイして、その感覚を体験していただけたらなと思います。

松原氏:従来のADVでは、主人公がいてその周りにヒロイン含めたキャラクターが何人かいてというフォーマットにはめた考え方からキャラクターを構築していましたが、本作では物語に必要に応じて配置していくという考え方でキャラクターを構築していきました。フォーマットに合わせるでのはなく、あくまでも物語を面白くするためにどう作っていくかという考え方にしたのは、本作のポイントです。

 世界観については2036年という近未来を描くのはすごく難しく。科学ADVを名乗る以上、その世界観に説得力がないといけないと思っています。今はないけど未来なら実現していそうなレベルのものを描いて、さらにそれを登場人物たちがごく自然に使いこなしているという設定をつくるのがすごく大変でしたけど面白かったですね。

 例えば劇中に出てくるBMIで動くアプリUIなどはBMIメーカーが用意したデザインキットを使ってデザインしたということになっていて、それを使ったアプリは基本的にはフラットデザインになっているんです。でも、プレイヤーの使うUIはBMIではないので、ポロンたちが使うUIとはデザインの作り方や考え方が別物なんです。システムメニューやタイトルメニューなどは赤と青の透過も使ったデザインになっていて、細かく見ると「どちらの世界のUIか」がわかるようになっています。

 たとえば、細かい所ですがTipsを取得した際の通知UIはプレイヤー側なので、ポロンたちの世界のUIとはデザインの方向性を変えています。だから1つ1つの要素を「これはポロンが認識できる」「これは認識できない」と設定していくのは大変でしたが、楽しかったこだわりポイントとなります。ぜひ、ユーザーの皆さんにはそういったところも含め、本作を隅々まで遊び尽くしていただければと思います。

ポロンが愛車のグレイパーを操縦している際のUIと、プレイヤーがセーブやロードを行なうシステムメニュー画面。まさしく「神は細部に宿る」ということか

 

(提供:MAGES.)

【ゲーム情報】

タイトル:『ANONYMOUS;CODE』(アノニマス・コード)
ジャンル:メタ科学アドベンチャー
販売:MAGES.
プラットフォーム:Nintendo Switch/PlayStation 4
発売日:発売中(2022年7月28日)
価格:
 パッケージ通常版:8580円
 ダウンロード通常版:7700円
 パッケージ限定版:1万1880円
CERO:C(15才以上対象)

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