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高度な独自技術を研究開発する国内外のベンチャーが多数登壇:HVC KYOTO 2022

ヘルステックベンチャーの事業展開をサポートする英語オンリーのピッチイベント

特集
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 日本最大級のヘルスケア分野特化型英語ピッチイベント「HVC KYOTO 2022」が7月5日に京都リサーチパーク(KRP)で開催された。日本貿易振興機構(JETRO)、京都府、京都市、KRP、京都大学産官学連携本部の連携による本イベントは2017年の開催から7年目を迎え、バイオテクノロジーや製薬業界に関わる企業や海外の講師等による4つの基調講演と4つのピッチセッションで構成されたプログラムは全て英語で進行された。

ハイブリッド開催で海外からはリモートでの参加となった

 本稿では一次選考を通過した7か国23社から選ばれたファイナリスト15社(1社欠席)が登壇したピッチイベントの模様を、企業賞に選ばれた4社を中心に紹介する。

◆湘南ヘルスイノベーションパーク賞/Start-up Capital KYOTO賞:Finnadvance

 フィンランドを拠点とするバイオテクノロジー企業のFinnadvanceは、細胞培養並びにマイクロ流体の設計と製造に合わせたハードウェアソリューションとバイオマテリアルを専門とする、高い技術力を持つエンジニア・サイエンティストたちによるスタートアップである。幅広い事業を手掛けるが、ライフサイエンス領域では時間とコストがかかる創薬の課題解決に取り組み、14以上の特許とオンコロジーに関する文献も含む学術論文を多数発表している。

 世界で注目を集めるマイクロ生体模倣システム(MPS技術)で高い技術力を発揮しており、既存とまったく異なる柔軟なプラットフォームの開発によって、少なくとも24の動物実験の代わりができるとしている。すべてが独自技術によるもので、日本企業を含む世界の大企業とパートナーを組みながら、国や大学とも協力して研究技術の開発を進めている。

 すでにスタンダードオペレーションは構築できており、2022年中に日本や米国など25の国でプラットフォーム提供を予定。今後は自動化によって生産を高めることを目的に掲げており、「4週間以内にアセットアモデルの開発をしたい製薬会社があれば連絡をしてほしい」と述べるなど、技術力に大きな自信を持っていることが伺えた。

Finnadvanceは圧倒的な技術力の高さが評価された

◆iCONM with BioLabs賞:イムノロック

 世界初の経口タイプのがん治療薬の開発を目指すイムノロックは、自然科学分野の起業を支援する神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科の創薬ベンチャーとして2021年4月に設立された。

 ピッチを行った共同創業者で大学教授の白川利朗氏は、COVID-19の経口ワクチンの開発にも取り組んでいる。一般的に抗がん剤は注射などを使って投与することでがん細胞を直接攻撃するが、イムノロックはリンパ球の機能を取り戻すことで間接的にがん細胞を治療するICI(免疫チェックポイント阻害薬)を使用する。

 ICIは化学療法や放射線治療に続く第4のがん治療とも言われ、世界で急速に研究開発が進んでいる。イムノロックは、ICIの有効性を高めるとともに経口薬での効果を調べるための臨床試験を実施予定。

 来年から神戸、広島、浜松の各大学で第1層試験を行い、安全性の確認後に国際第2層の試験を開始する予定だ。現在はコラボレーション先となる製薬会社を探しており、特許取得に向けても神戸大学の戦略チームの全面的なサポートを受け、国際的なプレーヤーとの研究も目指している。

世界で開発が期待されている経口タイプのがん治療薬の開発に取り組むイムノロック

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