オープンイノベーションから変化するViva Technology 2022
フランスViva Technology 2022レポート その1
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人気LVMHグループの狙い
イノベーションラボをスポンサーしているフランスの大企業も以前から減少傾向だ。カルフール、エアバス、フランス場外馬券発売公社のPMU、自動車部品大手Valeo(日本でいえばデンソーに似た会社)、建設会社Vinciが消え、Accor Hotelsグループもラボの出展がなくなっていた(これはコロナ禍の影響が最も大きかったこともあるだろう)。
今年は、通信キャリアのOrange、ルイ・ヴィトンなどのLVMHグループ、フランスの郵便事業La Poste、フランス国鉄SNCF、石油小売大手のTOTAL、大手金融機関BNPバリバや、人材系のマンパワーなど、収益に余裕がありそうなところが残っているという感じだ。
スタートアップにあたっていたスポットライトが少し外れてきているともいえるが、新興勢力である暗号通貨取引所のBINANCEが自社の発行する、仮想通貨を活用したアプリやスタートアップのスタンドを設けてブースを出展しているのが印象的であった。
毎年、個性的な展示で人気の高いLVMHグループの展示ブースでも、自社の取り組みを解決するスタートアップの展示だけでなく、自社のDiorや、KENZOでの取り組みが紹介されていた。
KENZOでの取り組みとして、初めてファッションアイテムとNFTをセットで販売した事例が紹介されていた。ブロックチェーンに長けた技術者は社内リソースでは不足しており、こうした展示会で協業できるスタートアップや技術者と繋がることも出展の目的であるという。
会場内にはウクライナのブースも。Viva Technologyは近年、フランスのマクロン大統領も講演を行うのが恒例となっているが、今年はゼレンスキー大統領がホログラムのディスプレイで会場に登壇し、講演を行った。
また、国別のブースとして、今年はインドが新たに加わった。フランスの地方ごとのブースでは、ロワール地方のブースが地球環境に配慮したサービス、事業に取り組むスタートアップに特化した展示をし、ブースも緑を感じさせるデザインとなっていた。
次の記事では、Viva Technology会場で目にとまった、興味深いスタートアップによるハードウェア製品を紹介していきたい。
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