oVice、Symmetry Dimensions代表が語るメタバース
JAPAN INNOVATION DAY 2022セッション「仮想空間のビジネス活用――メタバース、デジタルツインの可能性とは?」
メタバースで「勝ち抜く」にはなにが必要?
では、その考えからはどのような世界が目指せるのだろうか?
沼倉CEO 我々の世界は、つまるところ人と人とのコミュニケーションです。デジタルツインは「コミュニケーションするために使うもの」。その上で、(メタバースは)コミュニケーションに尽きるのだと思います。
その上で、デジタルツインとは単に都市のデータを再現するものではなくて、再現した上で皆さんが打ち合わせし、合意形成し、それを反映するところまで含めてだと思います。
弊社はコミュニケーションをするところと連携し、いかにコミュニケーションを簡単にするか、コミュニケーションコストを下げるかを目指していきます。
ジョンCEOはそれを受け、「あくまでメタバース、という視点で見ると、今はいろいろなメタバースがありすぎる」と話す。
ジョンCEO 哲学のないメタバースが多いと思っています。SNSのような感じがします。
10年前はいろいろなSNSがありましたが、結果的に用途ごと・地域ごとに、あるポジショニング・哲学があり、かつ市場があるものが残りました。それと同じです。
大手プラットフォームとの対抗についても、結局は哲学が重要だと考えています。それぞれのポジションで圧倒的な一位になったところが残るでしょう。
逆にいえば、哲学がかぶっていなければ共存できます。仮に我々と同じ「オフィスを代替するもの」として出てきても、中身が、哲学が違えば競合にはなりません。
沼倉CEOはまた別の観点から「競合」「連携」の観点を述べる。
沼倉CEO 西田さん(筆者)も、「メタバースとは閉鎖性とは逆の考え方で、ヘッドマウント・ディスプレイを使うか使わないか、みたいなこととはあまり関係ない」とTwitterでおっしゃっていましたよね。
メタバースという言葉でいうなら、私も同じで、いかに流動性・相互運用性を高めるかが重要だと思っています。
今のジョンさんの話とは被っていたり、逆だったりもするのですけれど、これからはいかに相互運用性を高められるかがポイントだと思っています。従来のように1つの会社がデータを抱えて1強になる、という話から、最近出てきている「Web 3.0」の話のように、いかにお互いにデータの流量を高めていくのか、お互いに行ったり来たりできるのか、というような考え方になってきているのだと思っています。
その形が見えてきているのが、ゲームであったり、我々(シンメトリー)のようなビジネスなのだろうと思っています。
「そこをどう高めるか」という視点で考えた企業が生き残るのだと思っています。大手・競合は色々ありますが、むしろ色々な会社との接続性を高めてやっていこう、と考えています。
筆者はメタバースとは「色々なビジネスのあり方が許容される場所」であると考えている。
そのためには、注目してより多く使ってもらうための「哲学」も重要なら、可用性を高めるための「接続性」も重要になる。
メタバースのビジネスの形は定まっていないが、お二人との対話の中から、その糸口をみつけていただけるのではないか、と筆者は考えている。